市民のためのがん治療の会
市民のためのがん治療の会 推薦書籍
前立腺ガン治療革命
小学館
この20年間で40倍以上急増した前立腺ガン。2020年には日本の男性ガン患者数では、胃ガンを抜いて1位肺ガンに次ぐ7万8000人になると予測されています。しかし前立腺ガンは早期に適切な治療を受ければまず命を失うことはなく、根治することも可能です。またある程度進行してからでも、適切な治療により元気に長く生きることができます。待機療法、ホルモン療法、放射線治療、手術――多岐にわたる治療法についてメリット、デメリットを、「がん難民コーディネーター」として多くのガン患者の相談を受けてきた藤野邦夫氏が丁寧に解説します。そしてガンの進行度に対してどの治療法が最適なのか、再発や生存率を左右する治療法の選び方を紹介します。

自著紹介
日本では毎年、前立腺ガンで一万人の男性が命を失っており、まもなくガンによる死因のトップの肺ガンにせまる勢いだといわれている。ところが、アメリカやヨーロッパの主要国を見ると、前立腺ガンによる死亡者が減ってきていて、地区によっては半分以下になっているところさえある。つまり前立腺ガンによる死亡者が増えているのは、医療先進国では日本だけに特異な現象であることがわかる。理由は(1)国家の医療政策に、PSA検査の意義を認めて普及をはかる姿勢がないこと、(2)日本の泌尿器科医に手術一辺倒の人たちが多く、PSAの数値が30~40に達している進行ガンの患者にも手術をして、二~三年で再発させているケースが少なくないことにある。
現在の前立腺ガンの治療法は非常に豊富で複雑になっており、世界では放射線治療の占める領域が大きく広がっている。これは患者のQOL(生活の質)を重視しようとする二一世紀の医療の世界的な流れの反映にほかならない。前立腺ガンの手術は身体的負担が大きく、手術後には尿失禁やEDという問題がつきまとう。さらにアメリカなどのデータでは、一〇年以上の生存率で見ると、手術にくらべて放射線治療のほうがずっと有効なことが確認されている。とくに、やや進行した(限局性)患者では、放射線治療が手術にくらべて一〇年生存率で三〇%も高いというデータが示されている。
本書では、前立腺肥大と前立腺ガンの治療法の全域を説明しているが、ブラキセラピー(密封小線源療法)と外照射療法がからだにやさしい確実な治療法として推奨している。とくに、やや進行した患者でも、ブラキセラピーと外照射の併用によって根治できることが説明されている。ブラキセラピーについては、DVDの『前立腺がん治療あれこれ』を参照されれば、さらに具体的に理解できるだろう。本書を一読されれば、前立腺ガンの治療法について悩むことはなくなるだろう。また本書では、すでに進行した患者や再発・転移した患者についても、有効な治療法がこまかく説明され、近い将来に実現しそうな治療法や薬剤についてもまとめられている。読者はもはや前立腺ガンで命を失わなくていい時代がきていることを実感するだろう。


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がん難民コーディネータ 藤野 邦夫 著
定価:700 円(送料共)
発売:2010/04

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