市民のためのがん治療の会はがん患者さん個人にとって、
  最適ながん治療を考えようという団体です。セカンドオピニオンを受け付けております。
   放射線治療などの切らずに治すがん治療の情報も含め、
  個人にとって最適ながん治療を考えようという気持ちの現れです。
市民のためのがん治療の会
「いわゆる健康食品」などはがんに効くのか?
『健康情報を見極め、信頼性を見抜くのは、「あなた」(1)』

市民のためのがん治療の会
代表 會田 昭一郎
「市民のためのがん治療の会」は会の基本的な運営方針として、標準治療として世界的にがんの標準治療として評価されている三大治療を基本に、治療方針を情報提供するなどしており、それ以外の代替療法などについては情報提供しておりません。そのことはこのHPでも「活動内容」の中ではっきり標榜しております。
とはいうものの、がんはいまだに約半数の患者が残念な結果になる手ごわい病気であり、患者や家族は三大療法以外にも活路を見出そうとします。それに呼応するように多くの様々な「がんに効く」というような情報が飛び交っています。
こうした事情を反映するように6年間に及ぶ当会の活動を通じ、その中でも「いわゆる免疫療法」と「いわゆる健康食品」についての質問が非常に多く、信頼できる情報提供をどのように行うか対応にも苦慮しておりました。
幸い「いわゆる免疫療法」についての情報提供は、がん基礎研究のトップランナであられる東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長中村祐輔教授にご寄稿いただくことができ、「がん医療の今」で昨年12月2日、9日の二回にわたって情報提供することができました。 
さて残るは「いわゆる健康食品」です。
これも色々な講演会等で講師の先生方がこぞって推薦される、独立行政法人国立健康・栄養研究所がHPで公開されている情報を掲載させていただきたいということとなりました。
幸い独立行政法人「国立健康・栄養研究所」の許可を得ることができ、同研究所のHPの「健康食品の安全性・有効性情報」(http://hfnet.nih.go.jp/)の中から、「買う前、摂取前に気をつけたい、「いわゆる健康食品」の特徴」と「科学的根拠のある情報とは?」を2回に分けて掲載させていただくことといたしました。
「市民のためのがん治療の会」代表協力医で北海道がんセンター西尾正道院長は講演会のときによくPUSとかPUMということを紹介されて、「今はインタネットなどで調べれば色々な情報が得られる。皆さんも病院まかせにしないでぜひ自分でも勉強してほしい」とおっしゃいます。これはPublic Understanding of Science とか Public Understanding of Medicine と言われるもので、一般市民の科学や医学に対する理解などといわれ、知識が市民に開かれていて、市民が政策決定に参加できることが市民社会では大切であり、専門知識は専門家にしか分からないから任せておくというのでは、開かれた社会にならない。一般市民が科学や医学の専門的知識を理解し科学技術政策などの意思決定に参画することが市民社会の理想であるというような考え方です。(「こころの薬箱」新橋心療内科)
是非みなさんも体に摂取するものですから、ご自分でもできる限りの情報収集されることをお勧めいたします。

転載をご許可いただきました独立行政法人国立健康・栄養研究所に対し、心から御礼申し上げます。

以下は独立行政法人「国立健康・栄養研究所」のHPの「健康食品の安全性・有効性情報」からの転載です。
買う前、摂取前に気をつけたい、「いわゆる健康食品」の特徴
1)成分名は表示されていても含有量の表示がない
「いわゆる健康食品」は、含有成分の「成分名」表示があったとしても、その「含有量」については不明なものがほとんどです。健康食品の有効性や安全性を判断するためには、「量」の情報が必要条件です。ある製品に含まれている特定成分の「量」が明確でないということは、有効性も安全性も「分からない」ということになります。
健康食品を摂取して何かの効果を期待する場合、その成分含量が何らかの生理作用を起こす量に達していなければ期待する効果は得られませんが、有害な作用が起こる可能性も低いといえます。一方、含有成分が何らかの生理作用を発現する量に達していれば、期待する効果は得られるでしょうが、過剰摂取や、利用者の体質などによる有害な影響(アレルギー症状や胃腸障害などの健康被害)が生じる可能性も出てきます。
成分の含有量が不明確ですと、医薬品との相互作用を想定する場合にも大きな障害となります。なぜなら、有効性や安全性の判断と同じく、成分含量が明確でなければ、食品と医薬品との相互作用が正確に判断できないからです。「病院で薬をもらっているが、もっと早く、よくなりたいので、主治医に黙って健康食品を買って食べている」という方は、特に注意が必要です。「もっと早くよくなるように」とご本人が思っていても、製品中に含まれている成分量がわからないときには、「薬の服用と同時進行でその健康食品を食べた結果が、よくなるのか、変わらないのか、悪くなるのか、薬との相互作用はどうなのか」、といった判断が全くできません。
含有成分が「天然のもの」などと表示のある場合にも注意が必要です。天然の動植物から抽出したエキスなどは、季節や天候や環境などによる「成分含有量のバラツキ」が必ずあります。このようなことから、「含有量が不明である」ということには、「品質が一定していない可能性」という意味も含まれます。
繰り返しとなりますが、含まれている単位(1個あたりや100g当たりなど)も含めて、含有量が表示されていないということは、「どれくらい入っているか、分からない」ということです。つまり、製品中に含まれる特定成分の割合が、「200ccのコップにスプーン1さじ」なのか「1,000Lタンクにスプーン1さじ」なのかが分からない、ということです。「200ccのコップにスプーン1さじ」でも「1,000Lタンクにスプーン1さじ」でも、「入っている」ことに間違いはありませんので、成分名の表示は、嘘ではありません。しかし、その「入っている成分」が、何かの効果や生理作用が生じる量まで入っているかというと、それは「含有量」の表示がないことには、分からないのです。

2)一つの原材料についても含有成分が不明な場合がある
一つの原材料でも、想定しない成分が多量に含まれている場合があります。たとえば、ダイズサポニンです。ダイズサポニンは、マメ科ダイズ(Glycine max MERRill)の種子を粉砕し、水又はエタノールで抽出・精製して得られる物質で、主成分はサポニン(ソヤサポニン等)です。既存添加物であり、乳化剤としてケーキや飲料などに広く利用されています。最近の研究から、食品添加物として利用されているダイズサポニンの中に、かなり高濃度のイソフラボンが含まれることが明らかになりました(文献1)。アグリコン換算(配糖体の糖以外の成分)として61.5−121.4mg/gのイソフラボンが含まれ、この量は天然の乾燥大豆に含まれるイソフラボン量(約2-5mg/g)の数十倍の濃度です(文献2)。「指定添加物」(安全性と有効性の基準に合格し、厚生労働大臣により食品添加物として指定される添加物)と違って、ダイズサポニンは「既存添加物」(長年使用されていた実績があるものとして天然添加物から引き続き使用を認められているもの)です。これは、近年明らかになったことですが、国が許可する添加物のレベルであっても「表示ではわからない成分」が含まれていることがある、という例です。大豆イソフラボンの安全性についてはこちらを参考にしてください(文献3)。
一方、「いわゆる健康食品」のほうは、原材料の表示に「○○抽出物」「××エキス」「△△菌」「□□調整品」「◎◎粉末」と書かれていることが多くありますが、これらの「原材料」ひとつひとつについて、それを構成している詳細な化学物質が、「何が」「どれくらい」含有されているのか、分からないものがほとんどです。1)で述べた「含有量が不明な製品」と同様に、「詳細な含有成分名が不明な製品」にも注意が必要です。

文献1:平成18年度食検費 既存添加物の成分規格の設定 大豆サポニンの成分分析 国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部
文献2:大豆のイソフラボン量について;産地による比較.札幌市衛研年報 29: 83-89 (2002)
文献3:大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A.内閣府食品安全委員会事務局(平成18年5月16日更新)

3)表示されていない成分が、入っている
 ダイエットや強壮を謳った健康食品に多くみられるのが、医薬品成分を違法に添加した「無承認無許可医薬品」です。これらはインターネット等を利用して海外から個人輸入した製品に多くみられるのが特徴です。
「ダイエットに効く」や「強壮に効果あり」との宣伝通り、「飲んだらとても痩せた」、「強壮に大変効果があった」のは、「実は食品ではなく、薬だったから」というケースです。食品にみせかけて、医薬品成分を違法に添加し、「健康食品」として販売しているもので、当然「表示されていない成分」が入っていることになります。利用する人は食品だと思っていても、実際にその製品に添加されているのは医薬品成分ですから、摂取量によっては命にかかわります。このような無承認無許可医薬品によって、過去に死者が出た例もあります。また、海外では食品として認可されていても、日本国内では医薬品成分の分類になるものもあります。安易に健康食品を個人輸入して健康被害を生じないよう、以下の点に気をつけてください。

・個人輸入した医薬品成分による健康被害は、全て個人の責任となり、健康被害救済制度の対象にならない。
・海外で健康食品として販売されているものであっても日本では医薬品成分であるものがある。
・短期間に効果が現れる、病気が治るなどの虚偽誇大な表現をしたものに注意する。
・医薬品と併用する場合は思わぬ健康被害を引き起こすことがある。医師・薬剤師等に相談する。
・基本は「バランスの良い食生活」。健康食品(サプリメント)は補助的に使うもの。

<関連リンク>
「健康食品や外国製医薬品、化粧品等と上手につきあうために」(厚生労働省作成2006年版)

4)実験の結果を過大評価している
「実験で○○の効果があった」「効果は実験で証明ずみ」などの宣伝や表示が多いのも「いわゆる健康食品」の特徴で、これにも注意が必要です。
食品の有効性や安全性を評価するには、通常「試験管内での実験→動物実験→ヒト試験」と3段階の実験が必要ですが、試験管の実験結果や動物実験の結果だけでは、ヒトに対する効果の有無は判断できません。なぜなら、試験管の中と、人間の体の中では、環境や状況がまったく違いますし、試験管と違って人間には、年齢、性別、遺伝的要素、生活習慣など、結果に影響を与える因子がたくさんあるからです。試験管内の実験で「効果があった」としても、その成分が、実際に人の口に入り、胃や腸を通過し、消化吸収の過程をたどったときに、「試験管の中と同じことが起こるかどうか」は、臨床試験をしてみないと分かりません。ですから、国が認める「特定保健用食品(トクホ)」は、「ヒトでの試験(臨床試験)」が条件になっています。臨床試験の結果を統計学的に処理した結果、効果があったといえるものだけに、トクホの表示が許可されているのです。「実験結果」があっても、それが「どの段階の実験か」を知ることは、健康食品を選択する上で重要な情報です。「実験で効果があった」という表示をみかけたら「どの実験か?」を気にかけるようにしましょう。

<関連リンク>
科学的根拠のある情報とは?


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