がん医療の最高責任者が語る
『新たながん対策推進基本計画に寄せて』
国立がん研究センタ一理事長・総長
堀田知光
堀田知光
本稿は「市民のためのがん治療の会」ニュースレターの巻頭言としてご寄稿いただいたものである。だが、先に決定された第2期がん対策推進基本計画を踏まえ、がん医療の最高責任者のお考えを多くの方々にもお知らせすべく、HPでも情報提供することとした。HPへの掲載をご快諾いただきました堀田理事長に御礼申し上げます。(會田)
がん対策基本法施行から5年、第2期がん対策推進基本計画が6月8日に閣 議決定されました。この間に全国どこでも標準治療を受けられる体制に向けてがん診療連携拠点病院がすべての都道府県に397施設までに拡充され、相談支援センターによる情報提供と相談支援、外来化学療法、緩和ケアの提供などの体制が整えられました。また、国立がん研究センターにがん対策情報センターが設置され、がんに関する情報発信の中核機能と拠点病院への支援、院内がん登録などが進められました。このようにがん医療の均てん化のための整備は5年間で着実に前進し、最近では「がん難民」という言葉はあまり聞かれなくなりました。一方で、標準治療の実施率や相談支援、セカンドオピニオンの提供などにおいて病院間や地域間の格差や専門医療従事者の不足などが問題として浮かび上がってきています。がん医療の提供体制は量から質への転換が必要となってきていると言えます。基本計画では、これまでの対策に加えて「がんと向き合いがんに負けることのない社会の実現」に向けて小児がんや稀少がんに対する治療法の開発、就労支援などが謳われました。国立がん研究センターの役割として、①医療者の育成、②情報収集と発信、③がん登録を一層進めることが特に期待されています。今日では医療者、患者・市民の皆さん、行政が協力して「がん医療を創る」時代に入ったと考えます。国立がん研究センターは高度先駆的な医療の開発とともに、がんと共生できる社会づくりに向けて中核的な役割を果たして参りたいと思います。
略歴
堀田 知光(ほった ともみつ)
1969年名古屋大学医学部卒業後、名古屋大学医学部第一内科入局、助手、第一内科講師を経て、1996年東海大学医学部内科学教授、2000年同大学医学部付属病院副院長、2002年同大学医学部長、2004年同大学総合医学研究所長(兼務)。2006年独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター院長、2007年独立行政法人国立病院機構本部東海北陸ブロック担当理事(兼務)を経て、2012年独立行政法人国立がん研究センター理事長、現職。
主な所属学会:日本内科学会:認定医・指導医、日本血液学会:第69回総会長(2007年)、名誉会員(2010年~)、日本臨床腫瘍学会:第3回総会会長(2005年)、功労会員(2010年~)日本リンパ網内系学会:第47回総会長(2007年)、名誉会員(2010年~) 米国血液学会(ASH) 米国臨床腫瘍学会(ASCO)
その他 厚労省がん研究助成金「高感受性悪性腫瘍に対する標準的治療の確立のための多施設共同研究」班 主任研究者 1999年~2009年、日本学術会議連携会員2006年~現在など、公職多数。
1969年名古屋大学医学部卒業後、名古屋大学医学部第一内科入局、助手、第一内科講師を経て、1996年東海大学医学部内科学教授、2000年同大学医学部付属病院副院長、2002年同大学医学部長、2004年同大学総合医学研究所長(兼務)。2006年独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター院長、2007年独立行政法人国立病院機構本部東海北陸ブロック担当理事(兼務)を経て、2012年独立行政法人国立がん研究センター理事長、現職。
主な所属学会:日本内科学会:認定医・指導医、日本血液学会:第69回総会長(2007年)、名誉会員(2010年~)、日本臨床腫瘍学会:第3回総会会長(2005年)、功労会員(2010年~)日本リンパ網内系学会:第47回総会長(2007年)、名誉会員(2010年~) 米国血液学会(ASH) 米国臨床腫瘍学会(ASCO)
その他 厚労省がん研究助成金「高感受性悪性腫瘍に対する標準的治療の確立のための多施設共同研究」班 主任研究者 1999年~2009年、日本学術会議連携会員2006年~現在など、公職多数。