週刊「実は・・・」~がん情報の見方~
『週刊誌のがん報道、その影響と実態』
東京大学附属病院泌尿器科
永田 政義
永田 政義
10年ぐらい前からであろうか、ちょうど私たちがん患者団体が連携してがん医療に対して様々な要求を始めたころからいわゆる医療情報のランキング情報が出されるようになった。「胃がんの名医東日本編」、「神の手」などというのもランキング情報の変形ともみられる。
単行本としてもランキング本も多数出ている。
週刊誌で生存率などによる医療機関のランキングなども良く見かけるが、そのデータ収集方法には大きな問題があることについて、昨年12月5日付「がん医療の今」で武蔵浦和メディカルセンターただともひろ胃腸科肛門科多田智裕先生の『たとえ事実でも医療機関のHPに記載できないこと~生存率の公開は本当に国民・患者に正しい情報を与えることとなるのか?』でも指摘した。
今回は膨大な量の週刊誌の実証研究から、がん情報の内容を含め、東京大学附属病院泌尿器科の永田 政義先生の興味深い報告がなされた。ご多用の中、永田先生からご寄稿いただき心から感謝申し上げます。(會田)
我が国は世界でも類を見ない超高齢化社会となり、国民の2人に1人ががんに罹患し、3人に1人ががんで死亡する。これにつれて国民のがんに対する関心が高まってきている。新聞やテレビでもがんの報道は増えつつあり、ほぼ毎日がん報道を目にする時代となった。日本における週刊誌は、主に中高年男性の読者に、政治や経済から芸能やゴシップまで広い情報を国民に提供する。がん報道も多くみられ、数10ページにも渡るがん特集記事なども組まれることもある。この週刊誌というメディアは、がんに関する情報をどこまで正確に表現し、どのように伝えているのであろうか。イメージとしては、新聞に比べるとやや素人目線である印象があり、がん情報の医学的な正確性にやや欠けるところがあるのではないかとは感じるところがあるが、週刊誌のがん報道に関する系統的な研究はなされていない。そこで今回、日本で出版されている週刊誌のがん情報の実態を系統的に調査することにした。
まず雑誌であるが、発行部数の多い6種の週刊誌(週刊現代・サンデー毎日・週刊文春・週刊朝日・週刊新潮・週刊ポスト)を選択した。6誌全てが電車の中吊り広告で毎週登場し、6誌合わせて週あたり270万部以上を売り上げていた(2010年)。これは我が国の主要新聞発行部数の約10分の1であるが、週刊誌はその特徴として、クリニックの待合室や喫茶店など公共の場で回し読みされる機会が多く、実際の読者数は発行部数を上回ると考えられる。この6誌について、2009年7月から2010年12月までの18ヶ月の期間で、がん関連記事および広告を調査した。新聞と異なり、週刊誌の記事データベースはなく、全ての週刊誌に実際に目を通して記事を数えあげる必要があったので、記事を実際に全て読み、「がん(癌、ガン)」という言葉を抽出した。
結果であるが、総記事数36,914の中で、がんに関連する記事は696本で、約1.9%を占めていた。これは日本の新聞記事におけるがん報道の割合1.5~2.0%に匹敵し、週刊誌はがん情報を効果的かつ定期的に伝えるメディアであると考えられた。調査期間中、がん関連記事の数とその割合は、全誌において増加傾向を示した。編集者は読者の興味を引く記事を採用するため、読者のがんへの関心の高さを反映すると考えられる。
がんの原発巣別の集計では、肺がん(9.9%)、泌尿器がん(8.3%)、胃・食道がん(7.5%)と続いたが、最多は原発臓器記載なしのがん(31.8%)であった。これは小説中に出てくるような、病気や健康に関する記事でなく登場する「がん」であり、この中には「彼は民主党のがんである」などと比喩的表現として用いられるものある。週刊誌はその読者層の大部分が中~老年期の男性であり、彼らが罹り易いため、彼らの興味を引くがん種の話題が多いことが考えられる。対照的に、婦人科がんや乳がん、血液腫瘍に関する記事は、新聞と比較して少なく、これらのがんに関する情報を週刊誌で得るのは困難となる。
記事内容で分類すると、「がん治療・診断」が最多32.8%、「著名人のがん罹患・追悼記事」が15.4%と続いた。新聞では比率の高い「医療経済または医療政策」は 2.1%に過ぎず、「医療訴訟・過誤」も0.3%と少なかった。週刊誌には、著名人の自らのがんの公表やがんで亡くなった著名人の闘病記などの比率が多く、例えばコメディアンの間寛平氏は、2010年1月に前立腺がん治療を米国で受けたことを公表したが、この時期の前後で、前立腺がんに関する記事が月当たり平均3倍以上に増加していた(2.0から6.6記事/月)。新聞におけるがん報道は、医療制度に関するものが多く、政治・経済的な観点で書かれる。一方、週刊誌では、患者目線での記事が中心であり、著名人のがん罹患の話題は、読者の関心を大きく引きつけるのであろう。
最も興味深い結果であるが、がん治療に関する340の記事および広告のうち、その治療法別集計では、最多は「免疫治療」の32.9%であった。次いで、「外科的治療(手術)」が18.5%であり、「終末期治療またはホスピス」12.4%、「化学療法」12.1%、「放射線治療」10.3%と続く。免疫療法に関するこれらの記事・広告の大部分は、エビデンスレベルの高い医学誌では効果の確証が得られていない保険適用外治療に関するものであった。がん患者、とくに末期がん患者は、藁にもすがる気持ちで散見される免疫治療などの記事・広告を読むことになるが、ある意味で治療の選択肢が増えることになるかもしれないが、保険は効かず効果の証拠のない治療に、莫大な費用がかかる可能性がある。このような治療法を書籍広告という形態で週刊誌に載せることは、現在の制度では薬事法には抵触しないため、単純には難しいと思うが、法での整備の必要性を考えさせられる。
がん記事の中で、様々ながん専門医がインタビューでコメントを述べていたが、その総数のうち3分の1以上(35.6%)は、わずか5人の医師によって占められていた。中でもある著名な放射線治療医は、自らがんに関する連載コラムを持ち、インタビューも含めて、総数の23.8%(81/340)を占めるコメントを提供していた。新聞と比較すると週刊誌は、より少ない記者で書かれており、締め切りに追われて記事を作成する。記者の取材しやすい同じ医師にインタビューを求めることが多くなるのも、特に東京の医師に偏るのも仕方がない現状であろう。当然、取材された各専門医の医学的見解が医学的に間違っていることはないが、いかなる著名な医師でも、どのがんもどの治療法も得意ではあるとは限らない。同じがんでも治療法によってそれぞれ専門家が全国に散らばっており、その記事内容によってどの医師に取材するのが妥当であり、公正なのか、記者自身が学会や論文レベルできちんと判断すべきであろう。
本研究の問題点は、調査期間が短すぎること、最近急増しているオンラインマガジンの調査をしていないこと、製薬会社による雑誌への出資に関して調査できなかったこと、取り上げた6誌が一般化可能性として扱えるかどうかの検証ができないことなどの面で、まだ途上の研究である。しかし結論として、今回明らかとなった週刊誌の特徴を、読者も記者も我々医師もよく理解しているならば、週刊誌はがんに関する情報を一般大衆に有効に伝えられるメディアであることが示唆された。
参考論文まず雑誌であるが、発行部数の多い6種の週刊誌(週刊現代・サンデー毎日・週刊文春・週刊朝日・週刊新潮・週刊ポスト)を選択した。6誌全てが電車の中吊り広告で毎週登場し、6誌合わせて週あたり270万部以上を売り上げていた(2010年)。これは我が国の主要新聞発行部数の約10分の1であるが、週刊誌はその特徴として、クリニックの待合室や喫茶店など公共の場で回し読みされる機会が多く、実際の読者数は発行部数を上回ると考えられる。この6誌について、2009年7月から2010年12月までの18ヶ月の期間で、がん関連記事および広告を調査した。新聞と異なり、週刊誌の記事データベースはなく、全ての週刊誌に実際に目を通して記事を数えあげる必要があったので、記事を実際に全て読み、「がん(癌、ガン)」という言葉を抽出した。
結果であるが、総記事数36,914の中で、がんに関連する記事は696本で、約1.9%を占めていた。これは日本の新聞記事におけるがん報道の割合1.5~2.0%に匹敵し、週刊誌はがん情報を効果的かつ定期的に伝えるメディアであると考えられた。調査期間中、がん関連記事の数とその割合は、全誌において増加傾向を示した。編集者は読者の興味を引く記事を採用するため、読者のがんへの関心の高さを反映すると考えられる。
がんの原発巣別の集計では、肺がん(9.9%)、泌尿器がん(8.3%)、胃・食道がん(7.5%)と続いたが、最多は原発臓器記載なしのがん(31.8%)であった。これは小説中に出てくるような、病気や健康に関する記事でなく登場する「がん」であり、この中には「彼は民主党のがんである」などと比喩的表現として用いられるものある。週刊誌はその読者層の大部分が中~老年期の男性であり、彼らが罹り易いため、彼らの興味を引くがん種の話題が多いことが考えられる。対照的に、婦人科がんや乳がん、血液腫瘍に関する記事は、新聞と比較して少なく、これらのがんに関する情報を週刊誌で得るのは困難となる。
記事内容で分類すると、「がん治療・診断」が最多32.8%、「著名人のがん罹患・追悼記事」が15.4%と続いた。新聞では比率の高い「医療経済または医療政策」は 2.1%に過ぎず、「医療訴訟・過誤」も0.3%と少なかった。週刊誌には、著名人の自らのがんの公表やがんで亡くなった著名人の闘病記などの比率が多く、例えばコメディアンの間寛平氏は、2010年1月に前立腺がん治療を米国で受けたことを公表したが、この時期の前後で、前立腺がんに関する記事が月当たり平均3倍以上に増加していた(2.0から6.6記事/月)。新聞におけるがん報道は、医療制度に関するものが多く、政治・経済的な観点で書かれる。一方、週刊誌では、患者目線での記事が中心であり、著名人のがん罹患の話題は、読者の関心を大きく引きつけるのであろう。
最も興味深い結果であるが、がん治療に関する340の記事および広告のうち、その治療法別集計では、最多は「免疫治療」の32.9%であった。次いで、「外科的治療(手術)」が18.5%であり、「終末期治療またはホスピス」12.4%、「化学療法」12.1%、「放射線治療」10.3%と続く。免疫療法に関するこれらの記事・広告の大部分は、エビデンスレベルの高い医学誌では効果の確証が得られていない保険適用外治療に関するものであった。がん患者、とくに末期がん患者は、藁にもすがる気持ちで散見される免疫治療などの記事・広告を読むことになるが、ある意味で治療の選択肢が増えることになるかもしれないが、保険は効かず効果の証拠のない治療に、莫大な費用がかかる可能性がある。このような治療法を書籍広告という形態で週刊誌に載せることは、現在の制度では薬事法には抵触しないため、単純には難しいと思うが、法での整備の必要性を考えさせられる。
がん記事の中で、様々ながん専門医がインタビューでコメントを述べていたが、その総数のうち3分の1以上(35.6%)は、わずか5人の医師によって占められていた。中でもある著名な放射線治療医は、自らがんに関する連載コラムを持ち、インタビューも含めて、総数の23.8%(81/340)を占めるコメントを提供していた。新聞と比較すると週刊誌は、より少ない記者で書かれており、締め切りに追われて記事を作成する。記者の取材しやすい同じ医師にインタビューを求めることが多くなるのも、特に東京の医師に偏るのも仕方がない現状であろう。当然、取材された各専門医の医学的見解が医学的に間違っていることはないが、いかなる著名な医師でも、どのがんもどの治療法も得意ではあるとは限らない。同じがんでも治療法によってそれぞれ専門家が全国に散らばっており、その記事内容によってどの医師に取材するのが妥当であり、公正なのか、記者自身が学会や論文レベルできちんと判断すべきであろう。
本研究の問題点は、調査期間が短すぎること、最近急増しているオンラインマガジンの調査をしていないこと、製薬会社による雑誌への出資に関して調査できなかったこと、取り上げた6誌が一般化可能性として扱えるかどうかの検証ができないことなどの面で、まだ途上の研究である。しかし結論として、今回明らかとなった週刊誌の特徴を、読者も記者も我々医師もよく理解しているならば、週刊誌はがんに関する情報を一般大衆に有効に伝えられるメディアであることが示唆された。
Cancer Articles in Weekly Magazines: Useful Media to Deliver Cancer Information to the Public? Masayoshi Nagata, Morihito Takita, Yukiko Kishi, Yuko Kodama, Tomoko Matsumura, Naoko Murashige, Yukio Homma and Masahiro Kami
Jpn. J. Clin. Oncol. (2013) doi: 10.1093/jjco/hyt004 First published online: January 30, 2013
まずは先生が週刊誌のがん情報に注目されましたセンスに敬意を表します。私は消費者問題を専門としておりますが、一般に私費者問題は供給者と消費者の間に、供給される商品やサービスについての情報ギャップがあることが問題になりますが、医療サービス程、そのギャップが大きいものはないと思います。医師と弁護士と言われますが、法律は専門書を読めば、ある程度は分かりますし、非常に狭い特殊な分野では、弁護士など足元にも及ばないような人もいますが、医療はそうはいかない。がんについてはそのギャップを埋める点で週刊誌の果たす役割は大きいと思います。先生が今回の調査対象とされました6種の週刊誌はメジャーな週刊誌で、記事の信用度も高いと思われておりますので、多くの人ががんについての情報をこれらの週刊誌から得ていると思います。
現役の先生が消費者の医療情報収集についてご関心を持ってくださったことに心から御礼申し上げます。
ありがとうございます。その通りだと思います。テレビは紙上メディアでないので、複雑な情報は伝えにくく、また新聞は、充分な情報提供するにはスペースに限界があります。その点、週刊誌は、基本的にはページの制限が無いので、数十ページにも渡るがん特集記事などが組めます。専門医の意見を適切に取り入れれば、医療従事者でない市民にとって週刊誌はがんの専門的な情報を得る非常に良い媒体です。
現役の先生が消費者の医療情報収集についてご関心を持ってくださったことに心から御礼申し上げます。
ありがとうございます。その通りだと思います。テレビは紙上メディアでないので、複雑な情報は伝えにくく、また新聞は、充分な情報提供するにはスペースに限界があります。その点、週刊誌は、基本的にはページの制限が無いので、数十ページにも渡るがん特集記事などが組めます。専門医の意見を適切に取り入れれば、医療従事者でない市民にとって週刊誌はがんの専門的な情報を得る非常に良い媒体です。
「最も興味深い結果であるが、がん治療に関する340の記事および広告のうち、その治療法別集計では、最多は「免疫治療」の32.9%」で「免疫療法に関するこれらの記事・広告の大部分は、エビデンスレベルの高い医学誌では効果の確証が得られていない保険適用外治療に関するもの」というのは、既に10年近くセカンドオピニオン情報提供を行っており、3大療法に行き詰まった方に「残された時間をご家族との有意義な時間に」としか言えないセカンドオピニオンを血を吐く思いでお返ししてきた者として、藁をもすがる気持ちで最後の治療法を求めるこれらの方々を、こうした治療法に追い込んでいるようで、本当に辛いです。
そうですね。どの原発のがんでも、どんなに進行しても、よく効くらしい免疫治療の広告は多いです。治療できない進行がんの患者さんにとっては、ある意味で新たな治療の選択を広げていることにはなりますが、費用と効果の客観的な評価が必要です。ただ、免疫治療の記事の中には、アメリカでは承認されている前立腺がんのワクチン治療や、膵がんのワクチン治療のように、医学誌でエビデンスの得られているものもあります。しかし、基本的には日本で保険での使用はできないので、結果、進行がんの患者さんにはぬか喜びさせているだけということになっている可能性があります。
そうですね。どの原発のがんでも、どんなに進行しても、よく効くらしい免疫治療の広告は多いです。治療できない進行がんの患者さんにとっては、ある意味で新たな治療の選択を広げていることにはなりますが、費用と効果の客観的な評価が必要です。ただ、免疫治療の記事の中には、アメリカでは承認されている前立腺がんのワクチン治療や、膵がんのワクチン治療のように、医学誌でエビデンスの得られているものもあります。しかし、基本的には日本で保険での使用はできないので、結果、進行がんの患者さんにはぬか喜びさせているだけということになっている可能性があります。
これらの免疫治療や健康食品は、非常に高額ですし、特に健康食品はマルチ・マルチまがいなどのいわゆる悪質商法である場合も多く、多額の費用を使って結局残念な結果に終わっている方を見聞きするにつけ、心が痛みます。
トクホと同じく、やはり薬事法での介入が必要かもしれません。読者が理解した上で、その治療を選択するのは止められませんが、エビデンスの乏しい治療だということを理解してない状況だとすれば、これは非常に問題だと思います。
トクホと同じく、やはり薬事法での介入が必要かもしれません。読者が理解した上で、その治療を選択するのは止められませんが、エビデンスの乏しい治療だということを理解してない状況だとすれば、これは非常に問題だと思います。
「このような治療法を書籍広告という形態で週刊誌に載せることは、現在の制度では薬事法には抵触しないため、単純には難しいと思うが、法での整備の必要性を考えさせられる」との主張は、本当に正鵠を射たご提言です。
実は、消費者問題については消費者行政を統括する最高機関として内閣総理大臣を会長とする消費者政策会議を設置しており、消費者政策を進めておりますが、一向に医療問題を取り上げる意欲も能力も今のところないようです。先生のご提言など、当然取り上げられていい問題だと思います。
従来の抗がん剤と併用したときの保険外免疫治療の効果の判定は非常に困難ですので、単純には整備することが困難だと思います。「確実に治療は無効である」「絶対に効いてない」というのは証明するのが難しいと思います。たまに効く人もいるかもしれませんし、問題は費用対効果です。国は検討すべきだと思いますし、あとは出版社のモラルによるところだと思います。
実は、消費者問題については消費者行政を統括する最高機関として内閣総理大臣を会長とする消費者政策会議を設置しており、消費者政策を進めておりますが、一向に医療問題を取り上げる意欲も能力も今のところないようです。先生のご提言など、当然取り上げられていい問題だと思います。
従来の抗がん剤と併用したときの保険外免疫治療の効果の判定は非常に困難ですので、単純には整備することが困難だと思います。「確実に治療は無効である」「絶対に効いてない」というのは証明するのが難しいと思います。たまに効く人もいるかもしれませんし、問題は費用対効果です。国は検討すべきだと思いますし、あとは出版社のモラルによるところだと思います。
「名医」「神の手」記事も見かけますが、専門の先生に伺うと、「あの先生、臨床やってるの?」などと言われることもあります。
週刊誌でコメントする専門医はもちろん名医であり、その意見は医学的には間違っていません。ただ、どんな名医でもどのがん種でもどの治療でも全て最先端であるわけではないので、記者は公正に取材しないと、どうしても取材回数の偏りができると思われます。
週刊誌でコメントする専門医はもちろん名医であり、その意見は医学的には間違っていません。ただ、どんな名医でもどのがん種でもどの治療でも全て最先端であるわけではないので、記者は公正に取材しないと、どうしても取材回数の偏りができると思われます。
データの収集についても昨年12月5日付「がん治療の今」で武蔵浦和メディカルセンターただともひろ胃腸科肛門科多田智裕先生の『たとえ事実でも医療機関のHPに記載できないこと~生存率の公開は本当に国民・患者に正しい情報を与えることとなるのか?』で「新聞や雑誌の担当者も結局のところ医療の専門家でない人が、安易に郵便やファックスを一斉送信してデーターを集めて、検証しないで掲載しているのでこのような事態が起こります。医療の専門記者を育てる事が必要です。」と述べておられます。
もちろんです。施設によっては、早期がんの比率が多いところもありますし、進行がんばかりを取り扱うところもあるでしょう。どんなに高い技術の治療をしても、後者の方が生存率が低くなるのは当然です。だから公開するのが悪いということではなく、そういった点を読者が認識しているかどうかが重要だと思います。
もちろんです。施設によっては、早期がんの比率が多いところもありますし、進行がんばかりを取り扱うところもあるでしょう。どんなに高い技術の治療をしても、後者の方が生存率が低くなるのは当然です。だから公開するのが悪いということではなく、そういった点を読者が認識しているかどうかが重要だと思います。
先ほども申し上げました通り、医療サービス程、医療者と患者=消費者の情報量ギャップが大きいものはないと思います。消費者としてこれらの情報を見極めるのはなかなか大変ですね。このたびは本当にありがとうございました。
我々がん専門医は、学会や医学論文の発表のみならず、週刊誌のようなメディアでもどんどん情報を発信すべきだということを、今回の研究でよく認識させられました。
我々がん専門医は、学会や医学論文の発表のみならず、週刊誌のようなメディアでもどんどん情報を発信すべきだということを、今回の研究でよく認識させられました。
略歴
永田 政義(ながた まさよし)
2000年 東京大学医学部卒業後、埼玉社会保険病院泌尿器科、都立荏原病院(現 財団法人東京都保健医療公社 荏原病院)泌尿器科、東京共済病院泌尿器科を経て2010年4東京大学附属病院泌尿器科助教、現職。
この間2006年より国立がんセンター研究所
がん抑制ゲノム研究プロジェクト、2007年より東京大学医科学研究所 人癌病因遺伝子分野に参加 東京大学大学院 医学系研究科 外科学専攻博士課程修了
資格
日本泌尿器学会泌尿器科専門医・指導医、がん治療認定医、泌尿器腹腔鏡技術認定医
日本内視鏡外科学会技術認定泌尿器領域
2000年 東京大学医学部卒業後、埼玉社会保険病院泌尿器科、都立荏原病院(現 財団法人東京都保健医療公社 荏原病院)泌尿器科、東京共済病院泌尿器科を経て2010年4東京大学附属病院泌尿器科助教、現職。
この間2006年より国立がんセンター研究所
がん抑制ゲノム研究プロジェクト、2007年より東京大学医科学研究所 人癌病因遺伝子分野に参加 東京大学大学院 医学系研究科 外科学専攻博士課程修了
資格
日本泌尿器学会泌尿器科専門医・指導医、がん治療認定医、泌尿器腹腔鏡技術認定医
日本内視鏡外科学会技術認定泌尿器領域