結局行き着く「正しい生活」
『痩せるだけじゃない!? 米国発MINDダイエットが認知症予防に効く』
内科医師 大西 睦子
食、医療など"健康"にまつわる情報は日々更新され、あふれています。この連載では、現在米国ボストン在住の大西睦子氏が、ハーバード大学における食事や遺伝子と病気に関する基礎研究の経験、論文や米国での状況などを交えながら、健康や医療に関するさまざまな疑問や話題を、グローバルな視点で解説していきます。
厚生労働省は2015年1月に、10年後の2025年には認知症の高齢者が700万人(5人に1人)になるとする推計値を示しました。日本の行政の対策も急務ではありますが、米国では認知症を予防できるという食事法に注目が集まっています。
なお、この原稿は日経トレンディネット(イラスト画像を含むオリジナル記事は下記)に寄稿されたものからの転載で、2015年9月30日にMRIC by 医療ガバナンス学会 発行(http://medg.jp)に掲載されたものです、ご厚意に感謝申し上げます。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20150826/1066123/
厚生労働省は2015年1月に、10年後の2025年には認知症の高齢者が700万人(5人に1人)になるとする推計値を示しました。日本の行政の対策も急務ではありますが、米国では認知症を予防できるという食事法に注目が集まっています。
なお、この原稿は日経トレンディネット(イラスト画像を含むオリジナル記事は下記)に寄稿されたものからの転載で、2015年9月30日にMRIC by 医療ガバナンス学会 発行(http://medg.jp)に掲載されたものです、ご厚意に感謝申し上げます。
(會田 昭一郎)
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20150826/1066123/
◆2つのダイエットを組み合わせて誕生したMINDダイエット
米国では、認知症は死因の第6位になっています。現状のままでは10年後には5人に1人が認知症に罹患すると言われる日本と同様に、米国では認知症の予防が優先度の高い公衆衛生上の課題になっています。
そんななか、食事による予防法に期待が集まっているのです。
<<参考文献>>
厚生労働省「「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000072246.html
The Alzheimer's Association「2015 ALZHEIMER'S DISEASE FACTS AND FIGURES」
http://www.alz.org/facts/
心臓病の予防として評価の高い地中海式ダイエット(Mediterranean diet)とDASHダイエット(Dietary Approaches to Stop Hypertension)は、認知機能の低下も予防することがこれまでに報告されてきました。
そこでシカゴのラッシュ大学メディカルセンターの研究者らは、2つのダイエットを組み合わせた、「MIND(Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay)ダイエット」という、認知症を予防するための新しいダイエットを考案。アルツハイマー病協会が発行する雑誌「アルツハイマー病と認知症(Alzheimer's & Dementia)」で発表しました。
MINDダイエットは、基本的には地中海式ダイエットとDASHダイエットのスタイルに従った方法ですが、さらに認知症の予防に焦点を当てた変更を加えています。
今回はこの、MINDダイエットをご紹介します。
<<参考文献>>
US National Library of Medicine National Institutes of Health「MIND diet slows cognitive decline with aging.」
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26086182
◆クレタ島民の低い心臓病死亡率から注目された地中海式ダイエット
ところでMINDダイエットのもとになる、地中海式ダイエットとDASHダイエットが、どんなものかご存じでしょうか。
「米国人のための食生活指針」によると、地中海式ダイエットとは、地中海沿岸地域に暮らす人々の伝統的な料理や食事のパターンを取り入れた方法です。1960年代、地中海沿岸地域の特にクレタ島の人々が、心臓病による死亡率が低いことが分かり、その食生活が注目されるようになりました。なお、現在ではクレタ島の人々の食生活が変化しており、不飽和脂肪酸の摂取量が減って飽和脂肪酸の摂取が増えたため、心臓病のリスクは着実に上昇していますので、地中海式ダイエットは1960年代当時の食生活がもとになります。
<<参考文献>>
the Office of Disease Prevention and Health Promotion「Dietary Guidelines」
http://health.gov/dietaryguidelines/
◆乳製品や肉類は控えめに…地中海式の特徴
地中海式ダイエットの特徴は
です。米国ではその後、多くの研究者が伝統的な地中海料理スタイルのダイエットの実践と、心血管疾患や全死亡率への影響を調べてきました。
各研究では対象者の食事に、伝統的な地中海式ダイエット(食事法)がどの程度とり入れられているかを点数化して調査しています。合計点数が高いほど、地中海式ダイエットに近い食生活を送っていることを示すわけです。
米国のメイヨー・クリニックのサイトによると、150万人以上の健康な成人の調査で、地中海式ダイエットの点数が高い人ほど、心臓病やがんによる死亡率が低下し、パーキンソン病やアルツハイマー病の発病率が低下していることが示されました。
<<参考文献>>
Mayo Clinic「Nutrition and healthy eating」
http://www.mayoclinic.org/healthy-lifestyle/nutrition-and-healthy-eating/in-depth/mediterranean-diet/art-20047801
◆政府支援で研究者たちが生み出したDASHダイエット
一方のDASHダイエットは、米国生まれの、米国人のための食生活指針が推奨するダイエットです。
地中海式ダイエットは伝統的な食文化から生まれたものですが、DASHダイエットは、高血圧や心臓病の予防として、米政府の支援のもと専門家が考案し、発展したものです。今回ご紹介する、MINDダイエットの論文の共著者、ハーバード大学のフランク・サックス(Frank・Sacks)教授は、DASHダイエットを考案した研究委員会の委員長を務めていました。
DASHダイエットは地中海式ダイエットに類似する、柔軟性とバランスのとれたダイエットです。果物や野菜、全粒穀物、豆類やナッツなどの植物性食品を多く摂取し、一方で塩分、お菓子、甘い飲み物、赤身肉は制限します。
どちらも目的は減量ではありませんが、減量プログラムとしても成功し、ファド(流行の)ダイエットのような短期間のダイエットではなく、長期的な健康を促進しています。DASHダイエットのほうが1日に食べる量をやや制限していますが、どちらのダイエットも基本的にカロリーの計算はしません。
◆地中海式とDASHの違いは塩分、総脂肪、カルシウム、オメガ3、飲酒量
2つのダイエットの概念は大変似ていますが、以下の違いがあります。
【1】DASHダイエットはナトリウム摂取制限の基準値を1日2300mg(=食塩5.75g)以下に設定しています。地中海式ダイエットは、具体的な塩分制限を設定していません。
【2】どちらのダイエットも飽和脂肪酸の摂取量を減らし、植物性油の利用を促進していますが、オリーブオイルをたくさん摂取する地中海式ダイエットは、総脂肪の摂取が増え、総カロリーも増えます。
【3】DASHダイエットでは低脂肪または無脂肪の乳製品を毎日摂取するよう推奨していますが、地中海式ダイエットは制限がよりゆるやかです。つまり地中海式ダイエットは、DASHダイエットよりもカルシウムの摂取量が少なくなるということでもあります。
【4】地中海式ダイエットは、DASHダイエットよりも魚の摂取量が多く、オメガ3などの栄養が豊富です。
【5】地中海式ダイエットでは適量の赤ワインの摂取を勧めていますが、DASHダイエットでは、米国飲酒のガイドラインに従い、飲酒は純粋なアルコール量として女性14g、男性28gまでとしています。
どちらがいいかと言えば、この2つのダイエットはとても似ていて、どちらも食物繊維、ビタミンやミネラルがたっぷりで飽和脂肪酸が低く、非常にヘルシーな食事法になっているので、判断に迷うでしょう。
ただし高血圧の方には、食塩制限が厳密ですので、DASHダイエットが適しているといえます。
◆MINDダイエットにおける食品分類
前置きが長くなりましたが、2つのダイエットは心臓病の予防として生まれました。その2つのヘルシーなダイエットから発展したMINDダイエットは、認知症の予防に焦点を当てているのが特徴です。
この研究は、ラッシュ大学が推進する「Memory and Aging Project」に参加する認知症と診断されていない960人(平均年齢81.4歳、女性75%、平均観察期間4.7年)を対象に行われました。このプロジェクトは、正常の範囲外の脳や体の老化の解明、治療や予防法を開発することを目的にしたものです。
参加者は、食物摂取頻度調査票(FFQ)を記入し、認知機能を含めた臨床的な検査を毎年受けました。
研究者らは入念に過去の研究を調査した結果、MINDダイエットにおける食品分類を10種類のヘルシーな食品と、5種類の不健康な食品の、合計15種類に分類。そのうえで、MINDダイエットの食事法を構成しました。
ヘルシーな食品
[1]緑色の野菜
[2]その他の野菜
[3]ナッツ
[4]ベリー
[5]豆
[6]全粒穀物
[7]魚
[8]家禽(かきん:家畜として飼育される鳥)
[9]オリーブオイル
[10]ワイン
不健康な食品
[1]赤身肉
[2]バターやマーガリン
[3]チーズ
[4]パン菓子やお菓子
[5]揚げ物やファーストフード
◆MINDダイエットを行った人アルツハイマー病のリスクが低下!
ではこの15種類をどのように摂取するか。
具体的には
[1]全粒穀物は少なくとも1日3食摂取する。さらに、緑色の野菜とそれ以外の野菜を1日1回は摂取する。
[2]間食にナッツをほぼ毎日取り入れる。
[3]豆類は1日おきに摂取する。
[4]週2回以上は家禽やベリーを摂取する。
[5]魚は少なくとも週に1度摂取する。
[6]毎日グラス1杯のワインは追加可能。
としています。もちろん、不健康な食品は制限しなければならず、特に
[1]バターは1日テーブルスプーン1さじ以下。
[2]チーズ、揚げ物やファーストフードは、1つでも週に1食以下。
としています。
では結果はどうだったのでしょうか。厳密にMINDダイエットを行った人は、アルツハイマー病のリスクが53%も低下し、適度に行った人でも35%低下したのです。また、厳密にMINDダイエットを行った人は、行わなかった人に比べて認知機能が7.5年も若くなりました。
◆高齢になってのアルツハイマー病は食生活が左右する
MINDの食事に含まれる唯一の果物はベリーです。筆頭著者のモリス博士は、学内ニュースに対して、次のように述べます。
「ブルーベリーは、脳を保護するという点で強力な食品の1つです。過去の研究で、イチゴも認知機能に対するよい影響が示されています」
<<参考文献>>
Rush University Medical Center「DIET MAY HELP PREVENT ALZHEIMER'S MIND」
https://www.rush.edu/news/diet-may-help-prevent-alzheimers
さらにモリス博士は、次のようにまとめます。
「アルツハイマー病の原因は、遺伝子、環境や行動などさまざまな因子が関与していますが、高齢になって発症するアルツハイマー病では遺伝子の影響は小さく、過去の報告から、食生活が大きく影響しています。MINDダイエットを長く続けている人は、アルツハイマー病の発症リスクが減ります。つまり、正しいことを長く続ける人は、より健康になるのです」
略歴米国では、認知症は死因の第6位になっています。現状のままでは10年後には5人に1人が認知症に罹患すると言われる日本と同様に、米国では認知症の予防が優先度の高い公衆衛生上の課題になっています。
そんななか、食事による予防法に期待が集まっているのです。
<<参考文献>>
厚生労働省「「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000072246.html
The Alzheimer's Association「2015 ALZHEIMER'S DISEASE FACTS AND FIGURES」
http://www.alz.org/facts/
心臓病の予防として評価の高い地中海式ダイエット(Mediterranean diet)とDASHダイエット(Dietary Approaches to Stop Hypertension)は、認知機能の低下も予防することがこれまでに報告されてきました。
そこでシカゴのラッシュ大学メディカルセンターの研究者らは、2つのダイエットを組み合わせた、「MIND(Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay)ダイエット」という、認知症を予防するための新しいダイエットを考案。アルツハイマー病協会が発行する雑誌「アルツハイマー病と認知症(Alzheimer's & Dementia)」で発表しました。
MINDダイエットは、基本的には地中海式ダイエットとDASHダイエットのスタイルに従った方法ですが、さらに認知症の予防に焦点を当てた変更を加えています。
今回はこの、MINDダイエットをご紹介します。
<<参考文献>>
US National Library of Medicine National Institutes of Health「MIND diet slows cognitive decline with aging.」
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26086182
◆クレタ島民の低い心臓病死亡率から注目された地中海式ダイエット
ところでMINDダイエットのもとになる、地中海式ダイエットとDASHダイエットが、どんなものかご存じでしょうか。
「米国人のための食生活指針」によると、地中海式ダイエットとは、地中海沿岸地域に暮らす人々の伝統的な料理や食事のパターンを取り入れた方法です。1960年代、地中海沿岸地域の特にクレタ島の人々が、心臓病による死亡率が低いことが分かり、その食生活が注目されるようになりました。なお、現在ではクレタ島の人々の食生活が変化しており、不飽和脂肪酸の摂取量が減って飽和脂肪酸の摂取が増えたため、心臓病のリスクは着実に上昇していますので、地中海式ダイエットは1960年代当時の食生活がもとになります。
<<参考文献>>
the Office of Disease Prevention and Health Promotion「Dietary Guidelines」
http://health.gov/dietaryguidelines/
◆乳製品や肉類は控えめに…地中海式の特徴
地中海式ダイエットの特徴は
- 野菜や果物、ナッツ類、豆類、未精製穀物をふんだんに摂取
- 飽和脂肪酸を避け、オリーブ油をたくさん摂取
- 魚を適度に摂取
- 乳製品や肉類は控えめに
- 適量のアルコールを定期的に摂取(食事と一緒にワイン)
です。米国ではその後、多くの研究者が伝統的な地中海料理スタイルのダイエットの実践と、心血管疾患や全死亡率への影響を調べてきました。
各研究では対象者の食事に、伝統的な地中海式ダイエット(食事法)がどの程度とり入れられているかを点数化して調査しています。合計点数が高いほど、地中海式ダイエットに近い食生活を送っていることを示すわけです。
米国のメイヨー・クリニックのサイトによると、150万人以上の健康な成人の調査で、地中海式ダイエットの点数が高い人ほど、心臓病やがんによる死亡率が低下し、パーキンソン病やアルツハイマー病の発病率が低下していることが示されました。
<<参考文献>>
Mayo Clinic「Nutrition and healthy eating」
http://www.mayoclinic.org/healthy-lifestyle/nutrition-and-healthy-eating/in-depth/mediterranean-diet/art-20047801
◆政府支援で研究者たちが生み出したDASHダイエット
一方のDASHダイエットは、米国生まれの、米国人のための食生活指針が推奨するダイエットです。
地中海式ダイエットは伝統的な食文化から生まれたものですが、DASHダイエットは、高血圧や心臓病の予防として、米政府の支援のもと専門家が考案し、発展したものです。今回ご紹介する、MINDダイエットの論文の共著者、ハーバード大学のフランク・サックス(Frank・Sacks)教授は、DASHダイエットを考案した研究委員会の委員長を務めていました。
DASHダイエットは地中海式ダイエットに類似する、柔軟性とバランスのとれたダイエットです。果物や野菜、全粒穀物、豆類やナッツなどの植物性食品を多く摂取し、一方で塩分、お菓子、甘い飲み物、赤身肉は制限します。
どちらも目的は減量ではありませんが、減量プログラムとしても成功し、ファド(流行の)ダイエットのような短期間のダイエットではなく、長期的な健康を促進しています。DASHダイエットのほうが1日に食べる量をやや制限していますが、どちらのダイエットも基本的にカロリーの計算はしません。
◆地中海式とDASHの違いは塩分、総脂肪、カルシウム、オメガ3、飲酒量
2つのダイエットの概念は大変似ていますが、以下の違いがあります。
【1】DASHダイエットはナトリウム摂取制限の基準値を1日2300mg(=食塩5.75g)以下に設定しています。地中海式ダイエットは、具体的な塩分制限を設定していません。
【2】どちらのダイエットも飽和脂肪酸の摂取量を減らし、植物性油の利用を促進していますが、オリーブオイルをたくさん摂取する地中海式ダイエットは、総脂肪の摂取が増え、総カロリーも増えます。
【3】DASHダイエットでは低脂肪または無脂肪の乳製品を毎日摂取するよう推奨していますが、地中海式ダイエットは制限がよりゆるやかです。つまり地中海式ダイエットは、DASHダイエットよりもカルシウムの摂取量が少なくなるということでもあります。
【4】地中海式ダイエットは、DASHダイエットよりも魚の摂取量が多く、オメガ3などの栄養が豊富です。
【5】地中海式ダイエットでは適量の赤ワインの摂取を勧めていますが、DASHダイエットでは、米国飲酒のガイドラインに従い、飲酒は純粋なアルコール量として女性14g、男性28gまでとしています。
どちらがいいかと言えば、この2つのダイエットはとても似ていて、どちらも食物繊維、ビタミンやミネラルがたっぷりで飽和脂肪酸が低く、非常にヘルシーな食事法になっているので、判断に迷うでしょう。
ただし高血圧の方には、食塩制限が厳密ですので、DASHダイエットが適しているといえます。
◆MINDダイエットにおける食品分類
前置きが長くなりましたが、2つのダイエットは心臓病の予防として生まれました。その2つのヘルシーなダイエットから発展したMINDダイエットは、認知症の予防に焦点を当てているのが特徴です。
この研究は、ラッシュ大学が推進する「Memory and Aging Project」に参加する認知症と診断されていない960人(平均年齢81.4歳、女性75%、平均観察期間4.7年)を対象に行われました。このプロジェクトは、正常の範囲外の脳や体の老化の解明、治療や予防法を開発することを目的にしたものです。
参加者は、食物摂取頻度調査票(FFQ)を記入し、認知機能を含めた臨床的な検査を毎年受けました。
研究者らは入念に過去の研究を調査した結果、MINDダイエットにおける食品分類を10種類のヘルシーな食品と、5種類の不健康な食品の、合計15種類に分類。そのうえで、MINDダイエットの食事法を構成しました。
ヘルシーな食品
[1]緑色の野菜
[2]その他の野菜
[3]ナッツ
[4]ベリー
[5]豆
[6]全粒穀物
[7]魚
[8]家禽(かきん:家畜として飼育される鳥)
[9]オリーブオイル
[10]ワイン
不健康な食品
[1]赤身肉
[2]バターやマーガリン
[3]チーズ
[4]パン菓子やお菓子
[5]揚げ物やファーストフード
◆MINDダイエットを行った人アルツハイマー病のリスクが低下!
ではこの15種類をどのように摂取するか。
具体的には
[1]全粒穀物は少なくとも1日3食摂取する。さらに、緑色の野菜とそれ以外の野菜を1日1回は摂取する。
[2]間食にナッツをほぼ毎日取り入れる。
[3]豆類は1日おきに摂取する。
[4]週2回以上は家禽やベリーを摂取する。
[5]魚は少なくとも週に1度摂取する。
[6]毎日グラス1杯のワインは追加可能。
としています。もちろん、不健康な食品は制限しなければならず、特に
[1]バターは1日テーブルスプーン1さじ以下。
[2]チーズ、揚げ物やファーストフードは、1つでも週に1食以下。
としています。
では結果はどうだったのでしょうか。厳密にMINDダイエットを行った人は、アルツハイマー病のリスクが53%も低下し、適度に行った人でも35%低下したのです。また、厳密にMINDダイエットを行った人は、行わなかった人に比べて認知機能が7.5年も若くなりました。
◆高齢になってのアルツハイマー病は食生活が左右する
MINDの食事に含まれる唯一の果物はベリーです。筆頭著者のモリス博士は、学内ニュースに対して、次のように述べます。
「ブルーベリーは、脳を保護するという点で強力な食品の1つです。過去の研究で、イチゴも認知機能に対するよい影響が示されています」
<<参考文献>>
Rush University Medical Center「DIET MAY HELP PREVENT ALZHEIMER'S MIND」
https://www.rush.edu/news/diet-may-help-prevent-alzheimers
さらにモリス博士は、次のようにまとめます。
「アルツハイマー病の原因は、遺伝子、環境や行動などさまざまな因子が関与していますが、高齢になって発症するアルツハイマー病では遺伝子の影響は小さく、過去の報告から、食生活が大きく影響しています。MINDダイエットを長く続けている人は、アルツハイマー病の発症リスクが減ります。つまり、正しいことを長く続ける人は、より健康になるのです」
大西 睦子(おおにし むつこ)
医学博士。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月より、ハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな--本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。
医学博士。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月より、ハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな--本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。