永久胃ろうをどう考える
『「治る見込みのない患者さんへの永久胃ろうは必要な医療か?」
について、医師の約7割は「一部の患者には必要」と回答』
メドピア株式会社 広報担当
老人ホームに居た90歳の母の胃瘻をお願いした息子として、「治る⾒込みのない患者さんへの永久胃ろうは必要な医療か?」について、
医師の約7割が「⼀部の患者には必要」と回答したことはうなづける。
嚥下困難になった母は、胃瘻に反対する医者の勧めもあり、入院して中心静脈栄養を行った。 その間認知力が落ちて息子のこともわからず話すこともままならない状態になり(治る見込みがないと判断され)、3ヵ月の入院期限が切れ別の病院に転院した。 転院先の病院でも中心静脈栄養を継続していたが微熱が続き体力も衰え、やがて3箇所の静脈が受け付けなくなった。
そこで、転院先の医者から「残りの静脈はいざといときのため残しておきたい」と、胃瘻を勧められた。 認知力の落ちた母に胃瘻するかどうか聞いても理解できることはなく、「単なる延命はしたくない」と考えていた僕は消極的だった。 しかし、医者の「中心静脈栄養も延命だ」というひと言に考えが変わった。確かに、中心静脈栄養も胃瘻も延命策に違いはないのだ。 その医者から胃瘻によって元気になる例があることも聞いた。 母は認知が進んで息子もわからないもののはっきりした意識はあり、治る可能性はあると思った。そこで、胃瘻をお願いした。
胃瘻にしたら顔の艶もよくなり体力もついて息子もわかるようになり、会話もできるようになった。胃瘻の威力を実感した。中心静脈栄養では栄養不足だったのだ。 胃瘻にして3ヵ月、すっかり元気になった母は元の老人ホームに帰ることができ、今では孫達と会うことを楽しみにしている。
転院先の医者も胃瘻に反対だったら母はもういないかも知れないと考えると、つくづく胃瘻にしてよかったと思う。 ただ、そのとき母の意識がなかったら、胃瘻をお願いしたかどうかは自信がないのだが、 “延命は悪”と考えないで、胃瘻にするかどうかはケースバイケースで判断すべきだと思う。
今回は医師の3人に1人が参加する医師専用コミュニティサイト 「MedPeer(メドピア)」( https://medpeer.jp ) を運営するメドピア株式会社(東京都渋谷区、代表取締役社長:石見 陽)が、 会員医師を対象に行った「治る⾒込みのない患者さんへの永久胃ろうは必要な医療か?」についてのアンケート調査結果について、掲載させていただいた。
嚥下困難になった母は、胃瘻に反対する医者の勧めもあり、入院して中心静脈栄養を行った。 その間認知力が落ちて息子のこともわからず話すこともままならない状態になり(治る見込みがないと判断され)、3ヵ月の入院期限が切れ別の病院に転院した。 転院先の病院でも中心静脈栄養を継続していたが微熱が続き体力も衰え、やがて3箇所の静脈が受け付けなくなった。
そこで、転院先の医者から「残りの静脈はいざといときのため残しておきたい」と、胃瘻を勧められた。 認知力の落ちた母に胃瘻するかどうか聞いても理解できることはなく、「単なる延命はしたくない」と考えていた僕は消極的だった。 しかし、医者の「中心静脈栄養も延命だ」というひと言に考えが変わった。確かに、中心静脈栄養も胃瘻も延命策に違いはないのだ。 その医者から胃瘻によって元気になる例があることも聞いた。 母は認知が進んで息子もわからないもののはっきりした意識はあり、治る可能性はあると思った。そこで、胃瘻をお願いした。
胃瘻にしたら顔の艶もよくなり体力もついて息子もわかるようになり、会話もできるようになった。胃瘻の威力を実感した。中心静脈栄養では栄養不足だったのだ。 胃瘻にして3ヵ月、すっかり元気になった母は元の老人ホームに帰ることができ、今では孫達と会うことを楽しみにしている。
転院先の医者も胃瘻に反対だったら母はもういないかも知れないと考えると、つくづく胃瘻にしてよかったと思う。 ただ、そのとき母の意識がなかったら、胃瘻をお願いしたかどうかは自信がないのだが、 “延命は悪”と考えないで、胃瘻にするかどうかはケースバイケースで判断すべきだと思う。
今回は医師の3人に1人が参加する医師専用コミュニティサイト 「MedPeer(メドピア)」( https://medpeer.jp ) を運営するメドピア株式会社(東京都渋谷区、代表取締役社長:石見 陽)が、 会員医師を対象に行った「治る⾒込みのない患者さんへの永久胃ろうは必要な医療か?」についてのアンケート調査結果について、掲載させていただいた。
(市民のためのがん治療の会理事 佐原 勉)
医師10万⼈以上(国内医師の3⼈に1⼈)が参加する医師専⽤コミュニティサイト 「MedPeer(メドピア)」(https://medpeer.jp)を運営するメドピア株式会社(東京都渋⾕区、代表取締役社⻑:⽯⾒ 陽)は、 会員医師を対象に、「治る⾒込みのない患者さんへの永久胃ろうは必要な医療か?」についてのアンケートを実施いたしました。
■調査結果:「治る⾒込みのない患者さんへの永久胃ろうは、必要な医療か?」
(回答者:MedPeer会員医師4,206⼈、調査期間:2017/3/29〜2017/4/4)
■サマリー
- ⼀部の患者には必要だと思う 2,896人68.9%
- 不必要だと思う 762人18.1%
- わからない 418人9.9%
- 必要だと思う 130人3.1%
- 「治る⾒込みのない患者さんに永久胃ろうを造設することは、必要な医療だと思いますか?」の質問に対し、4,206⼈の医師が回答した。 結果、最多回答は「⼀部の患者には必要だと思う」で、約7割を占めた。 次いで多かったのは「不必要だと思う」で18%の医師が回答し、「必要だと思う」と回答した医師は僅か3%だった。
- ⼤多数を占めた「⼀部の患者には必要だと思う」(68.9%)の回答には、「ケースバイケースだと思う」というコメントが⼤半を占め、 「本⼈や家族が希望すれば」「意識があり認知機能が問題なければ」必要なケースもあるといった考えが多かった。 ⾃⾝の家族や患者で実際に効果があった経験から、⼀部では必要だとする声もあった。
- 2番⽬に多かった「不必要だと思う」(18.1%)と回答した医師のコメントは、 「⾷べられなくなったら寿命だと思う」「本⼈のためではない」という声の他、永久胃ろうによる医療費の増加を危惧する声も多く⾒られた。 その他、全回答を通じて「⾃⾝や家族の死⽣観の問題であるため、判断が難しい」という医師も多くいた。
■回答コメント(⼀部を抜粋)
「⼀部の患者には必要だと思う」 2,896件
- 栄養補給で、最後に有意義なQOLや、家族の満⾜感が確保できるなら、施⾏価値はあると思います。(40代、精神科)
- 胃瘻からの栄養で⾮常に元気になる患者がいることは確かです。全員にするべきとは思いませんが、効果のある患者がいることは確かと考えます。(60代、⼀般外科)
- ⼝から⾷べられないけど、頭がしっかりしていて元気な⼈だったら必要じゃないでしょうか?(40代、⼀般内科)
- ごく⼀部には必要だと思いますが、多数の⼈にとって本⼈に苦痛を与える医療になりかねないと思います。(30代、⼀般内科)
- 患者さんとご家族の希望があれば必要だと思います。私の⽗の時は主治医から勧められましたが、お断りしました。 兄の時は⺟の希望もあり、⼿術を受けました。栄養状態が良くなり、誤嚥性肺炎を起こしにくくなりましたので、 今では⼿術を受けて良かったと思っています。(50代、整形外科・スポーツ医学)
- 若い神経疾患とか、頚髄損傷の患者さんには必要だと思います。 しかし、⾼齢で脳梗塞後、意識なしなど、胃瘻の意味が分からない⼈に造設することは、仮に家族の希望があったとしてもすべきではないと考えています。(30代、⼀般内科)
- 個⼈的には不要ですが、現時点での⽇本の死⽣観では、必要とする家庭も多いと思います。 これは、医療の問題ではなく、⽂化の問題ですので。(40代、脳神経外科)
「不必要だと思う」 762件
- 本⼈のためではありませんよね、家族を納得させるためだけのような。(50代、放射線科)
- 原則的には勧めません(提案の⼀つの中の説明には⼊れます)。ご本⼈、ご家族が⾃発的に強く希望する場合は拒否することは出来ません。 また、保険診療範囲内とするかどうかは別の問題になるので、別に検討が必要と思います。(50代、⼀般内科)
- 治る⾒込みがなければ、もう胃瘻は作らないことにしました。⻑期間になると疲弊する家族が多いです。(50代、⼀般内科)
- 欧⽶のように、経⼝摂取できなくなったら寿命という考えにならないと医療費で国が終わってしまう。(50代、⼀般内科)
- 何故胃瘻がこれほど普及したのか理解に苦しみます。欧⽶では⼝から⾷べられなくなったら寿命と判断する国もあります。 私⾃⾝も胃瘻や経管栄養をしてまで⽣き延びたくありません。(50代、⽼年内科)
「わからない」 418件
- 患者さんにとって、嬉しいことなのかがわからないです。(50代、⽿⿐咽喉科)
- 複雑な背景の問題ですから、単純には答えられません。(50代、腫瘍内科)
- 必要かどうかは個々⼈の考え⽅、価値観によると思います。(40代、精神科)
- 医学の世界で絶対ということはないので。(50代、整形外科・スポーツ医学)
- 患者と家族の希望にもよるが、簡単に結論できない。(60代、⼀般内科)
「必要だと思う」 130件
- 治る治らない、⽣きる⽣きないは医師が決めることではない。(40代、⼩児科)
- 本⼈や家族が希望すれば、それにより少しでもQOL改善する時間が作れたら。(50代、総合診療)
- 意識のない患者に関しては、介護する家族のことを第⼀に考えるべきと思います。(50代、脳神経外科)
- ALS患者や脳⾎管障害で嚥下障害が強い患者など、治る⾒込みは現時点ではないが胃瘻造設が必要な場合は多いと思います。(50代、⼀般内科)
- 死んでもいい⼈を選別できない。(50代、リハビリテーション科)
■調査概要
調査期間 : | 2017/3/29 〜 2017/4/4 |
有効回答 : | 4,206⼈(回答者はすべて、医師専⽤コミュニティサイトMedPeerに会員登録をする医師) |
調査⽅法 : | MedPeer内の「ポスティング調査」コーナーにおいて、医師会員からご投稿頂いたテーマをもとに、以下の質問を投げかけました。 |
治る⾒込みのない患者さんに、永久胃瘻(ろう)造設を⾏うことは必要な医療だと思いますか?
- 必要だと思う
- ⼀部の患者には必要だと思う
- 不必要だと思う
- わからない