『国立病院機構の活動について』
私たち国立病院機構(NHO)は、平成16年4月に国立病院・国立療養所が移行して設立された独立行政法人で、現在は全国142の病院を運営しています。 独立行政法人としては14年目ですが、その歴史は古く明治時代から昭和初期にかけて各地に設置された陸海軍病院・傷痍軍人療養所や日本医療団結核療養施設にまで遡ることができます。
NHOは医療の提供、臨床研究の推進、医療従事者の養成という3つの使命を帯びており、 約5万床の病床と約6万人の職員を有している我が国有数の病院ネットワークです。 この全国的な病院ネットワークを活かして、地域と皆さまの信頼のもと医療関係者や自治体とも連携を取りながら、地域の安全と安心に貢献したいと考えています。
国立病院機構が提供する医療には、5疾病5事業を中心とする医療と、 他の設置主体では必ずしも実施されない恐れのあるセーフティネット分野に関する専門的医療の両者があります。 5疾病5事業に関しては、その全ての分野において地域医療計画に多くの病院が記載されています。 例えば、急性心筋梗塞の領域では64病院が、脳卒中では94病院が地域医療計画に記載されています。
【がん】 医療計画記載 85病院 がん診療拠点病院 35病院 |
【急性心筋梗塞】 医療計画記載 64病院 |
【脳卒中】 医療計画記載 94病院 |
【糖尿病】 医療計画記載 71病院 |
【精神疾患】 医療計画記載 45病院 |
【救急医療】 医療計画記載 113病院 救命救急センター 20病院 |
【災害医療】 医療計画記載 58病院 災害拠点病院 36病院 |
【周産期医療】 医療計画記載 61病院 総合周産期 5病院 地域周産期 21病院 |
【小児医療】 医療計画記載 89病院 |
【へき地医療】 医療計画記載 15病院 へき地拠点病院 9病院 |
セーフティネット分野では、例えば筋ジストロフィーの診療では全国の約96%の病床を国立病院機構が提供するなどの貢献をしています。
国立病院機構のセーフティネット分野の医療における病床数とシェア | ||
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①重症心身障害 | 7,913床 | 37.0% |
②筋ジストロフィー | 2,341床 | 95.5% |
③結核 | 2,009床 | 36.6% |
④心神喪失者等医療観察法に基づく入院 | 421床 | 51.0% |
このように、「国立」と聞くと、急性期病院、あるいは昔の結核療養所と、さまざまなイメージをもたれるかもしれませんが、 実は、地域の基幹病院の機能を担う500床以上の病院から重症心身障害児(者)、神経・筋難病の診療を担う病院まで、多種多様です。
また、国立病院機構では、さまざまな診療の提供のみならず、多くの診療実績から得られる豊富な診療データを活かして、 診療の質の分析や臨床研究に積極的に取り組むとともに、医師・看護師をはじめとする医療従事者の育成にも力を入れており、我が国の医療の水準の向上に貢献しています。
さて、国立病院機構におけるがんへの取り組みですが、85病院が地域医療計画に記載されており、 そのうち35病院が、厚生労働大臣により「がん診療連携拠点病院」に指定されています。 このように、国立病院機構の多くの病院が専門的ながん医療の提供、地域のがん診療の連携協力体制の整備、がん患者に対する相談支援や情報提供を行う役割を担っています。
がん治療の専門施設もあり、 「北海道がんセンター(北海道札幌市)」「四国がんセンター(愛媛県松山市)」「九州がんセンター(福岡県福岡市)」の3病院はがん医療の分野で高い専門性を発揮しています。 この3病院は「がん診療連携拠点病院」の中でも特に「都道府県がん診療連携拠点病院」の指定を受けており、都道府県におけるがん医療の中心的な役割を担っています。
それ以外にも、呼吸器の専門医療を行っている「近畿中央胸部疾患センター(大阪府堺市)」「刀根山病院(大阪府豊中市)」等では、 元々結核を中心とした呼吸器疾患に取り組んでいたことから、現在は肺がんに特化したがん医療を行っています。 このように、過去の経験に基づき、特定の分野に特化したがん医療を実施している病院もあります。
もしがんに関するご相談などがありましたら、お近くの国立病院機構の病院にぜひご来院ください。
各都道府県で中心的な役割を果たすために原則として各都道府県に1カ所指定
医療機関名 | 所在地 |
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国立病院機構北海道がんセンター | 北海道札幌市 |
国立病院機構四国がんセンター | 愛媛県松山市 |
国立病院機構九州がんセンター | 福岡県福岡市 |
地域内で中心的役割を果たすために原則として各地域(2次医療圏)に1カ所指定
医療機関名 | 所在地 |
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国立病院機構仙台医療センター | 宮城県仙台市 |
国立病院機構水戸医療センター | 茨城県東茨城郡茨城町 |
国立病院機構高崎総合医療センター | 群馬県高崎市 |
国立病院機構沼田病院 | 群馬県沼田市 |
国立病院機構渋川医療センター | 群馬県渋川市 |
国立病院機構埼玉病院 | 埼玉県和光市 |
国立病院機構千葉医療センター | 千葉県千葉市 |
国立病院機構東京医療センター | 東京都目黒区 |
国立病院機構災害医療センター | 東京都立川市 |
国立病院機構金沢医療センター | 石川県金沢市 |
国立病院機構敦賀医療センター | 福井県敦賀市 |
国立病院機構名古屋医療センター | 愛知県名古屋市 |
国立病院機構京都医療センター | 京都府京都市 |
国立病院機構大阪医療センター | 大阪府大阪市 |
国立病院機構大阪南医療センター | 大阪府河内長野市 |
国立病院機構姫路医療センター | 兵庫県姫路市 |
国立病院機構南和歌山医療センター | 和歌山県田辺市 |
国立病院機構米子医療センター | 鳥取県米子市 |
国立病院機構浜田医療センター | 島根県浜田市 |
国立病院機構岡山医療センター | 岡山県岡山市 |
国立病院機構呉医療センター | 広島県呉市 |
国立病院機構東広島医療センター | 広島県東広島市 |
国立病院機構岩国医療センター | 山口県岩国市 |
国立病院機構九州医療センター | 福岡県福岡市 |
国立病院機構福岡東医療センター | 福岡県古賀市 |
国立病院機構嬉野医療センター | 佐賀県嬉野市 |
国立病院機構長崎医療センター | 長崎県大村市 |
国立病院機構熊本医療センター | 熊本県熊本市 |
国立病院機構別府医療センター | 大分県別府市 |
国立病院機構都城医療センター | 宮崎県都城市 |
国立病院機構鹿児島医療センター | 鹿児島県鹿児島市 |
国立病院機構南九州病院 | 鹿児島県姶良市 |
昭和50年大阪大学医学部卒業後、大阪大学医学部附属病院、桜橋渡辺病院、大阪大学医学部助手を経て平成4年大阪大学医学部附属バイオメディカル教育研究センター助教授。
国立大阪病院臨床研究部長、同 副院長を経て平成19年 4月 (独)国立病院機構大阪医療センター院長。同 理事(非常勤)を経て平成28年同 理事長、現職。
この間、平成2年ジョンズホプキンス大学医学部助教授