市民のためのがん治療の会
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がんを防ごう

『新入生にピロリ菌検査
~北海道医療大4月から 喫煙者ゼロ運動も推進』


北海道新聞
WEB掲載許諾番号D1803-1809-00013372

大学生に対しがん対策を講じる興味深い取り組みです、北海道新聞2017年2月26日掲載の記事を、同紙の許可を得て転載させていただきました、感謝いたします。
なお、浅香先生のご寄稿、2011年6月8日付「がん医療の今」No.75「胃がん撲滅プロジェクト『わが国からの胃がん撲滅は可能か?』
http://www.com-info.org/www_test/medical.php?ima_20110608_asaka も併せてご高覧いただきますようお願いいたします。
(會田 昭一郎)

北海道医療大が、全国的にも珍しい在学生を対象にした「がん予防プロジェクト」に取り組んでいる。肺がん予防のための喫煙者ゼロ運動を進めるほか、新年度からは、新入生全員に胃がんの原因となるピロリ菌検査を行う。プロジェクトを発案した浅香正博学長は「学生が将来、日本人に多い肺と胃のがんで命を落とす可能性を限りなくゼロに近づけたい」としている。(編集委員 岩本進)

歯学部など医療系学部を擁する同大でのプロジェクトは、消化器内科医でピロリ菌研究などの第一人者でもある浅香学長が着任した2016年から始まった。

このうち「喫煙者ゼロプロジェクト」では学生や教職員でつくる見回り組織が、禁煙エリアでの喫煙者に注意を呼び掛けるなど啓発活動を展開。17年春には敷地内の喫煙所を廃止した。

浅香学長は入学式後の講話や講義で学生にたばこの害を説明するほか、昨年12月には自身が執筆した「喫煙ストップ」を呼びかける冊子を学生・教職員全員に配布。啓発の成果もあり、17年度の学生の喫煙率は5・4%と前年度の9・4%を下回ったという。

新年度からの「胃がん予防プロジェクト」では、毎年、新入生の血液検査を行い、胃の粘膜にすみつくピロリ菌の有無を調べる。今年は4月の健康診断で新入生約800人を検査。1人千円程度の費用は大学が負担する。感染者には同意を得た上で札幌市北区の同大病院で内視鏡検査と除菌治療を行う。約5千~6千円の窓口で支払う診療費などは大学が負担する。横浜市立大も新年度から新入生らを対象に同検査を行う予定だが、全国の大学でもまだ珍しい取り組みという。

浅香学長は「たばこは肺がんなどさまざまな病気の原因になる。ピロリ菌も20代で除菌すれば将来ほぼ100パーセント胃がんにならない」と説明。国立がん研究センターの津金昌一郎・社会と健康研究センター長は「大学時代は喫煙や飲酒を始める時期。若い時にがんの正しい知識とがんを予防する生活習慣を身に付けることは大切で、同様の取り組みが全国に広がることを期待したい」と話している。

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