市民のためのがん治療の会はがん患者さん個人にとって、
  最適ながん治療を考えようという団体です。セカンドオピニオンを受け付けております。
   放射線治療などの切らずに治すがん治療の情報も含め、
  個人にとって最適ながん治療を考えようという気持ちの現れです。
市民のためのがん治療の会
日の丸印の創薬への新しい動き
『がんペプチドワクチン全国ネットワーク共同研究進捗報告会に出席して』
東京大学教授・医科学研究所附属病院長
日本がん免疫学会・理事長
今井 浩三
3月17日に、東京郊外で、上記報告会があり、出席する機会をいただいた。 報告会は、この「がんペプチドワクチン全国ネットワーク共同研究」を立ち上げ、これまで長年にわたり、がん患者さんに夢を届けたい一心でかかわってこられた中村祐輔先生(東京大学医科学研究所教授)の挨拶にはじまった。中村先生は、本年4月からアメリカ・シカゴ大学に行き、がんワクチンをはじめとする、個別化医療のリーダーとして活躍される。しかし、1年の20%ぐらいは、日本の東大医科学研究所で指導をされる予定と伺っている。
 会の報告で、特に興味深かったのは、食道がんの手術後にワクチンを投与する方法である。まだ例数が少ないが、効果がみられる可能性がある。肺がん、膵がん、小児がんでも、国の規制当局との攻防が生々しく報告された。

 最後のセッションでは、まずメディアから、アンケート調査に基づいた興味ある報告(NHK報道局科学文化部記者の薮内潤也氏)があった。医療者側と患者の「最後までがんと闘う」意識に違いがあること、すなわち、医療者は20%程度のみ最後まで闘うと考えるのに、患者側は約80%の方が、そう思っていることのずれについて、指摘があった。このようなことも、十分なコミュニケーションが不足していることから、生じている可能性がある。

 続いて、市民団体から見たがん治療というタイトルで、「市民のためのがんペプチドワクチンの会設立準備室」の代表・會田昭一郎氏からのお話があった。がんワクチンのようなまだ医薬品として認可されていないものを、できるだけ早く規制当局に認めていただくには、患者団体のお力が大変重要であることを実感した。私も大学病院を預かるものとして、市民、メディア、医療者が頻繁に情報交換し、みんなの力で、正当なお薬を早く世に出す重要性を再確認させていただいた。

 総じて、熱気にあふれる会であり、この会が、「日の丸印のがんワクチン」をつくり出すことを確信することができ、応援団として嬉しく思うとともに、さらになすべきことの決意を固めることができた。

 皆様、ともに頑張りましょう。


略歴
今井 浩三(いまい こうぞう)

昭和53年 米国NIH認定博士研究員(スクリップス研究所)(〜56年)
昭和60年 英国ケンブリッジ大学MRC研究所上級研究員
平成 6年 札幌医科大学内科学第一講座教授
平成16年 札幌医科大学学長
平成19年 札幌医科大学理事長・学長
平成22年 東京大学教授、医科学研究所附属病院長、現職
医学博士、内科医
日本がん免疫学会理事長、日本がん治療認定医機構理事長、日本癌学会副理事長

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