がん対策推進室
平成28年10月の「がん検診推進強化月間」の諸事業等が一段落したので、がん対策推進室にお願いし、茨城県のがん対策について、ご報告いただいた。
日本人の2人に1人は生涯のうち一度は何らかのがんにかると言われ,3人に1人はがんで亡くなっています。茨城県でも,昭和60年以降,がんが県民の死亡原因の第1位となっていますので,がん対策は極めて重要な課題です。
県では,平成2年度から第一次計画,平成15年度から第二次計画,そして,現在は「茨城県総合がん対策推進計画−第三次計画−」に基づき,がん対策を進めていますが,がんによる死亡者数は減っていません。また,がんは早期発見・早期治療が重要ですが,がん検診の受診率は,目標値の50%に届かない状況が続いています。
このような状況を踏まえ,県議会議員の提案により,平成27年12月に「茨城県がん検診を推進し,がんと向き合うための県民参療(※)条例」を制定しました。
※「参療」:「県民の皆さんが,がんに関する正しい知識を習得して,自分に提供される医療を決定できることに自覚をもって,自分のがん医療に主体的に参画すること」と条例で定義しています。
条例では,@がんによる死亡者数を減らすこと,Aがん患者とその家族を支援すること,Bがんになっても尊厳を保ちながら安心して暮らせる社会づくりを目標として,市町村,県民の皆さん,保健医療福祉関係者,事業者,教育関係者などと連携・協力しながら,以下の4つの視点で,がん対策を推進していくこととしています。
2 がん検診の推進
3 がん医療の充実
4 がん患者とその家族に対する支援
この4つの視点のがん対策の一例をお示しします。
1 がん予防の推進
(1)子どもから保護者へのメッセージカードによる検診受診勧奨子どもから保護者の方に,がんと健康についてのメッセージカードを渡すことにより,保護者に対してがん予防や検診の大切さを考えるきっかけづくりをしていただきます。
(2)子宮頸がんの普及啓発や受診勧奨若い女性の子宮頸がん検診の受診を促進するため,県内の大学などでポスターやチラシを配ったり,セミナーを開催しています。
2 がん検診の推進
(1)がん検診推進強化月間の設定県民のみなさまに,がん検診の受診や参療の意識を高めていただくために,10月を「茨城県がん検診推進強化月間」と定め,がんの講演会を開催するなど,様々な取組を行っています。
(2)がん検診受診率向上企業連携プロジェクト
平成22年3月から,企業や団体と連携してがん検診普及啓発に取り組む「がん検診受診率向上企業連携プロジェクト」を実施しています。
平成28年11月末現在で,62の企業や団体と連携協定を締結いただいており,各企業・団体の皆様には,従業員や顧客に対する受診勧奨や啓発イベントの実施などに取り組んでいただいているほか,県民に対して受診勧奨を行っていただくために,各企業・団体の従業員の方々を「がん検診推進サポーター」として養成しています。
これまで,推進サポーターの養成のための研修会については県が開催していましたが,今年度は協定締結企業自らが従業員向けの研修を開催し,新たに約4,800人のサポーターを養成するなど,各企業・団体での取組みが拡大してきています。
3 がん医療の推進
(1)がん患者口腔管理体制強化事業がん治療には口腔ケアが重要です。医療従事者を対象とした研修会を開催して,がん治療における医科と歯科の連携を進めます。
4 がん患者とその家族に対する支援
(1)「いばらき みんなのがん相談室」の設置県民のみなさんが抱える様々な不安や悩みに幅広く対応するため,がん診療連携拠点病院などの相談支援センターのほか,病院以外の無料の相談窓口として「いばらき みんなのがん相談室」を茨城県看護協会内に設置しています。
(2)がん先進医療費利子補給金助成事業
がんの治療には,陽子線治療などの先進医療がありますが,治療費は高額です。このため,県では,がんの先進医療の治療費(上限:300万円)を,県と協定を結ぶ金融機関から借り入れるときに,その利子分(6%以内)を補助しています。
(3)企画提案型がん対策推進事業民間団体からがんに関連する事業を募集して,選ばれたプランに助成をしています。
【取組内容(例)】
・リンパ浮腫講習会
・がんに関する講演会 など
※上記は,県のがん対策の一例ですので,このほかの事業については,県保健予防課HPをご覧ください。
http://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/yobo/sogo/yobo/cancergrop/catop.html
がん対策推進室