市民のためのがん治療の会はがん患者さん個人にとって、
  最適ながん治療を考えようという団体です。セカンドオピニオンを受け付けております。
   放射線治療などの切らずに治すがん治療の情報も含め、
  個人にとって最適ながん治療を考えようという気持ちの現れです。
市民のためのがん治療の会
姑息的治療から、治療の第一選択へ
『日本放射線腫瘍学会第25回学術大会を終えて』

大会長   三橋 紀夫
(東京女子医科大学放射線腫瘍学講座)
盛会裡に終了されました今回の学術大会、誠におめでとうございました。 第二次大戦の敗戦と共に原子力関連の学術研究が広範に中断のやむなきにいたり、大量殺りく兵器等とは根本的に研究のアーキテクトの違いがあるにもかかわらず、放射線医療も、大きな暗黒時代を過ごさざるを得なかった。 戦前は世界の放射線医療とほぼ同じレベルでの成果をあげていたわが国の放射線医療は、大きなダメージを受けながら、戦後の混乱を経て原子力関連の学術研究が再開されるや、多くの卓越した人材を輩出し、世界をリードする理論・技術等を開発、最近の10年間に、IT技術革新の成果を最も大きく受け、大きく進歩した。 患者側の意識の変化も見逃せない。当会の活動なども多少は貢献できたと思うが、「切らずに済む低侵襲」「機能・形態の温存」はもとより第一に治療成績によって放射線治療を第一選択とする患者も多くなってきた。 だが、今もって10万人オーダの外科医に比べ1000人にも満たない放射線腫瘍専門医。 患者としてはJASTRO創立四半世紀を経て、新たな一段の飛躍を求めたい。(會田)
 平成11月23日(金)から25日(日)までの3日間、東京国際フォーラム(千代田区)で日本放射線腫瘍学会第25回学術大会を東京女子医科大学放射線腫瘍学講座が担当し開催させていただきました。今回は日本放射線腫瘍学会が設立されて25周年の記念大会に当たることから、前日の22日(木)には記念式典も開催されました。お陰様で、2,900人を超える参加者があり、多くの皆様のご支援により無事終了することができました。今回特に目についたのは、放射線腫瘍医のみでなく、医学物理士、診療放射線技師、看護師といったメディカルスタッフの参加者が急増していることです。今後のチーム医療にとって大変有益な大会になったのではないかと自負しています。
 『がん治療の均てん化』が叫ばれ、がん診療連携拠点病院が認定されるなどがん診療の「均てん化」が図られています。また、文部科学省でも6年前からがんプロフェショナル養成プランを開始し、放射線治療医や医学物理士の育成に本腰を入れています。こうした取り組みで放射線腫瘍医や医学物理士が増加していますが、まだまだ供給が需要に追いついていません。そこで、今後は「センター化」の方向も模索すべきではないかと考え、学術大会のメインテーマを『放射線治療の未来を創造する:「均てん化」でがん治療の多様なニーズに応えられるか』とさせていただきました。また、学術大会初日の23日(金)には第4回日・中・韓合同シンポジウムとJASTRO-ESTROワークショップも行い、国際連携の方向性も打ち出しました。
 最後に、日本放射線腫瘍学会がさらに発展し、我が国の放射線治療がさらに進歩し、一人でも多くのがん患者さんがその恩恵に浴することを願っています。


略歴
三橋 紀夫(みつはし のりお)

1974年群馬大学医学部卒業後、群馬大学医学部放射線医学講座にて研究に従事、助手、講師、助教授を経て、2001年東京女子医科大学 放射線医学講座 主任教授、2009年同大学 放射線腫瘍学講座 主任教授(現職)。主な所属学会:日本放射線腫瘍学会・第25回学術大会長(2012年)、日本医学放射線学会、日本頭頸部癌学会、日本癌治療学会、米国臨床腫瘍学会(ASCO)、米国放射線腫瘍学会(ASTRO)、 欧州放射線腫瘍学会(ESTRO)。その他:特定非営利活動法人日本放射線腫瘍学研究グループ(理事長)。専門医・認定医資格:放射線治療専門医、がん治療認定医。著書:「がんをどう考えるのか−放射線治療医からの提言−」新潮新書 (2009)


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