市民のためのがん治療の会はがん患者さん個人にとって、
  最適ながん治療を考えようという団体です。セカンドオピニオンを受け付けております。
   放射線治療などの切らずに治すがん治療の情報も含め、
  個人にとって最適ながん治療を考えようという気持ちの現れです。
市民のためのがん治療の会
ネットワーク強化で在宅療養支援体制を構築
『「区民一人ひとりが、がんを知り、がんと向き合い、
がんに負けることのない地域社会」の実現を目指して』
港区長 武井雅昭
 2008年に厚労省が行った終末期医療に関する調査によると、痛みを伴う末期状態における療養場所として、約6割の人が自宅での療養を望んでいる。終末期に限らず、住み慣れた地域で在宅での療養を望む声は多い。だが、がんの好発年齢の70歳以上では、夫婦のみ、あるいは単身の世帯が増加しており、なかなか在宅療養を実行していくことには困難な状況にあることも事実である。
 港区では医療・看護・福祉のネットワークを強化し、地域全体の取組によって、患者とその家族の不安や苦痛、生活上の障害を取り除き、住み慣れた地域で安心して療養を続けられるようにする在宅療養支援体制を構築している。こうした試みはNHKでも取り上げられ報道された。
 さらには「旧国立保健医療科学院跡地」を取得、在宅緩和ケア支援における医療、福祉、教育、研究、人材育成の拠点として、「(仮称)みなと在宅緩和ケア支援センター」の整備を進めるという先進的な取り組みが進められている。
 もちろん、東京大学医科学研究所をはじめ都内でも有数の医療施設を有し、財政的にも特別区中トップクラスの港区ならではの取り組みと言ってしまえばそれまでだが、行政がそうした優位性を区民の福祉のために活用することは大いに注目されよう。
 港区がこのような地域社会の包括的な在宅医療システムのトップランナとして、他の地域を引っ張っていただくことも重要だ。(會田)
 會田昭一郎代表をはじめ市民のためのがん治療の会の皆様には、全国のがん患者が自らに最適な治療を選択できるよう、セカンドオピニオンの推奨など積極的な活動を繰り広げていただき、心より感謝を申し上げます。
 「がん」は、港区において、昭和51年から37年連続で死因第一位で、現在では年間約500人、3人に一人が「がん」で命を落としています。
 港区としては、「がん」を区民の生命にとって最大の脅威ととらえ、国、東京都、またがん患者を含めた区民、医療従事者及びボランティア等が一体となってがん対策に取り組むことにより、「区民一人ひとりが、がんを知り、がんと向き合い、がんに負けることのない地域社会」の実現を目指すことを目標として、様々ながん対策を講じているところです。   現在港区には、「がん診療連携拠点病院」が2施設(都内22施設)、「東京都認定がん診療病院」が3施設(都内10施設)、「在宅療養支援診療所」が33施設、「訪問看護ステーション」が14事業者、「地域包括支援センター(通称「高齢者相談センター」)が5施設あります。区では、これら施設と関係団体からなる「港区在宅緩和ケア支援推進協議会」を設置して、医療・看護・福祉のネットワークを強化し、地域全体の取組によって、患者とその家族の不安や苦痛、生活上の障害を取り除き、住み慣れた地域で安心して療養を続けられるようにする在宅療養支援体制を構築しています。
 本区の具体的な取組として、港区医師会の協力のもと、関係機関の連携により、在宅で療養されているがん患者の方々への往診ならびに訪問看護を24時間提供する体制を推進しています。「がん」の診断で治療を受けている港区民は、3,008人(平成23年10月1日現在)で、このうち9割以上の2,789人が、こうした医療機関、訪問看護ステーションとかかわりながら通院または往診で在宅療養を続けています(平成23年度厚生労働省患者調査での都民の動向から試算)。
 これに加えて平成25年8月、みなと保健所に「みなと緩和ケアダイヤル」を開設して、がん患者とその家族と、地域の医療や福祉サービスとの橋渡しを行う「コンシェルジュサービス」を開始し、これまで以上に、地域のサービスを円滑に利用しやすくしました。
 また容態急変時の医療体制については、在宅で患者の容態が急変した際、かかりつけの病院が満床であっても、区が医療機関から借り上げている専用病床に収容できる体制を平成21年10月に構築しました。これに加えて平成25年4月から、レスパイト(介護者の休暇目的)入院の受け入れも新たに開始し、介護者の事情により在宅での介助が一時的に困難になった場合にも、短期間(2週間以内)、患者を入院させることもできるようにしました。
 さらに区民に対する啓発については、平成21年3月から「がん」に関する区民講演会を開催するほか、区内の大学やボランティアなどと連携して、「みなと区民まつり」において「在宅緩和ケア啓発ブース」を出展して、「がん」に関する正しい知識の普及、がん検診受診率向上、在宅医療を担う看護師等の社会的地位の向上に努めてまいりました。これに加えて平成25年7月30日、港区は東京大学医科学研究所(港区白金台)と連携協定を締結し、今後、区立中学校において専門家による「がん」等の健康教育、区民向け健康講座の共同開催、最新の医科学研究(「iPS細胞とがん治療」「オーダーメイド治療」「がんワクチン」など)を分かりやすく解説する展示コーナーを開設(当面は期間限定)するなど、区民が「がん」に関する最新の情報に接することができる取組も新たに始めます。また港区は、前述の東京大学医科学研究所に隣接する「旧国立保健医療科学院跡地」(敷地面積11,173平米)を平成21年3月に取得し、在宅緩和ケア支援における医療、福祉、教育、研究、人材育成の拠点として、「(仮称)みなと在宅緩和ケア支援センター」の整備を進めています。本センターの整備によって、現在行っている「がん」に関する相談、情報発信、講演会、地域医療連携の推進などが一層強化されるとともに、NPOやボランティア団体の育成や活動の場としてもセンターを活用できることで、地域全体で「がん」と闘う「人々のきずな」を育む拠点にしたいと考えています。
 港区は、今後も区民が生涯を通じて、ともに健やかに、安心して、いきいきと自立して暮らすことのできる地域社会の実現を目指し、保健福祉施策の総合的・計画的に推進していくとともに、関係団体の協力を得ながら、区民ならびに関係者などと協働する区政運営に努めてまいります。
 これからも、市民のためのがん治療の会の活動が、「がん」に対する広く社会全体に理解を深める契機となり、がん患者ならびに家族の皆さんの勇気と希望へとつながりますことを、心から願っております。
 會田昭一郎代表をはじめ市民のためのがん治療の会の会員の皆様のご努力に対し、深く敬意を表しますとともに、ますますのご活躍を心から祈念いたします。  

略歴
武井 雅昭(たけい まさあき)

昭和52年 早稲田大学政治経済学部卒業後、港区入区。
平成16年港区退職、港区長就任、現在3期目、現職。


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