がん患者も容貌等を大事に
『がん患者も容貌等を大事に』
CELENITE セレナイト
さとう桜子
はじめましてさとう桜子と申します。
私が「CELENITE セレナイト」をスタートして1年が過ぎました。
CELENITE(セレナイト)とはギリシャ語で「月」を意味する「セレネ」から名づけられた石からとっており、その石は心を穏やかに清め至上のしあわせをもたらすと言われています。
わたしのがん
2011年5月に初期の子宮体がんと診断されて四か所目の病院で11月に手術を受けました。しかしリンパへの転移がみつかり1ヶ月後に再手術。更に約半年間の抗がん剤治療を経験しました。
その間には想像していた副作用と、それ以上に私を取り巻く今までの環境との大きなギャップに直面しました。
「がん患者」のわたし
手術の影響からの様々な体調の変化は数えきれません。
リンパ浮腫や長期間の嘔吐、排尿障害での自己導尿なども経験しました。
そして抗がん剤の副作用では全身の脱毛から始まり、爪の異変や味覚臭覚の異常、ムーンフェイス状態の後には肌がボロボロになってしまいました。
病院ではシミになりやすくなるので気をつけるように指導されましたが、なぜシミになりやすくなるかは不明でした。抗がん剤の影響で握力が無くなり化粧品のキャップを開け閉めすることも一苦労です。でも何もしないと言うわけにはいきませんので時間をかけケアーします。
また、私は真冬から真夏の間にウイッグを余儀なくされる生活でした。
台風の季節には傘を差しながらも絶対にウイッグが飛ばされないように懸命に抑えましたし夏は一人の毛髪の3倍ほどの毛量があると言われるウイッグを被ってのとても暑く厳しいシーズンでした。
朝、時間をかけてウイッグを被り仕事に向かいます。
髪の毛がある上にウイッグをつけるのはピンで抑えられるので簡単に装着できますが、何もない頭にアンダーキャップ被りその上にかつらを載せて一緒にピンで留めるのですぐにずれてしまいます。何度も何度もやり直しをする毎日でした。夏の暑さでかつらの中は汗ですぐに濡れ、蒸れて汗が顔に流れ落ちてきます。会社の着くと一旦かつらを取り、頭皮を拭いてまた被りなおすのです。 中に入れてあるアンダーキャップも絞れば汗が出るくらいになるので替えを数枚持ち歩きました。数日使うとウイッグがべったりとしてくるのでシャンプーをします。自分の髪の毛なら入浴時に簡単にできますが、ウイッグは丁寧に洗面台で洗い、ウイックスタンドに立ててドライヤーを当てます。スタンドではブラッシングするだけでウイッグが動くのでとてもやりづらく時間も相当かかってしまいます。しかし洗わないと臭いも気になりますので手の抜けない作業でした。
化粧品会社に在籍し、長年美容トレーナーとして活動してきた私でも、抗がん剤治療中の自分自身のスキンケアーやメイク、ウイッグメンテナンスは今までで一番悩み苦しみました。そんな時、同じ治療仲間からの依頼もあり、がん患者でも行きやすいところを探すために代表でエステを受けることにしました。 しかし予約の時点でがん患者は断られ、予約ができたとしても苦い思いをするサロンが多いのが現状でした。
カウンセリングの時点で抗がん剤治療中と伝えたにもかかわらず、ケアーは別の担当者になるため「どうしてかつらなんですか?」「叔母もがんで亡くなったんですよ」「傷、すごいですね」など、何気にかけられる言葉に大きなショックを受けます。悪気はないのでしょうが当事者の私は厳しい現実を改めて思い知らされました。
また、水でも吐き気がすると話しているのに大量のスチーマーを顔のすぐそばで焚かれ、敏感になっている肌に強めのマッサージはひどく痛く、リラックスどころではありませんでした。
そのようなことを治療仲間に報告すると、同じような思いをしたがん患者は少なくないようで、結論は「がん患者がキレイを求めることは難しい」と言う大きな諦めでした。キレイと言うのは今までと変わりない自分なのですが、それさえ叶えてくれるような、私たちの求めるサロンはどこにもなかったのです。
電車やレストランでも「かつら」とばれないように下を向き、「付けまつげ」とわからないように話すときには相手の目を見ることができず、「爪の黒さ」を隠すために常にこぶしを握って生活する私たちは「がん患者」なのです。
しかしそんな思いを抱えながらも、自分たちが安心して使えるかつらを探し、サロンを探し、化粧品を探しました。そして出た結論は、「私と同じ様なダメージを受けて悩んでいる方を、私がキレイにしたい!」。肌へのダメージを回復する良い手段は何がある?何もない顔を今までと同じように見せるメイクは?と考え続け、自分の今までの美容の知識と経験を活かせる場所を提供することではと強く思うようになりました。
プライベートサロン
その結果がサロンという「かたち」となり、2013年6月にセレナイトをオープンさせる事となりました。セレナイトは一人一人に合わせたオーダーメイドプランでオールハンドトリートメントです。「手当」と言われるように、手を使い触れられることで疲れた気持ちをほぐし、心とからだのバランスを取り戻します。誰にも会わず丁寧なカウンセリングのもとにゆっくりとトリートメントを行います。途中、疲れたり気分が悪くなったら休憩出来るように大きめのソファを置いています。
メイクレッスンもご自身で出来るようにアドバイスしていきます。ファンデーションの塗り方から付けまつげの付け方や眉の描き方、更にはインナーの選び方などの相談にも応じます。
弱くなった肌にも使える化粧品やヘアケア、メイク用品も実際に私たちが使いセレクトしたものだけを置きました。
付き添いの方やお友達と一緒にいられるように広めのスペースでトリートメントします。季節に合わせ、天気に合わせお出しする飲み物も変えていきます。
今はがん患者さんだけではなくご家族やご友人もいらっしゃいます。患者と日々向き合いどのように接していいかわからなくなったからとケアーを受けながら質問されることもあります。自分自身のケアーでいらっしゃるのですが心の中はいつも家族、友人の事を思っている方がとても多いです。
わたしは医療従事者ではありません。美容とがん治療の経験者としてのアドバイスをさせて頂きます。私自身が2度の手術と抗がん剤治療を経験し、悩み苦しんだことをこれから治療される方にアドバイスし、少しでもその悩みを解消し治療に専念して頂きたいと思います。女性は見た目が変わると心も変わります。サロンにいらっしゃる方も初めは緊張のせいか治療のせいか、やはり元気無くお越しになる方も多いです。
しかし、お帰りになる時は皆さん明るく元気になって帰られます。「美しく輝くがん患者でいよう」と言う思いのもとに、病気になっても女性であることを 諦めないで今までと変わらない自分でいられるように精一杯お手伝いをしたいと思っています。
略歴私が「CELENITE セレナイト」をスタートして1年が過ぎました。
CELENITE(セレナイト)とはギリシャ語で「月」を意味する「セレネ」から名づけられた石からとっており、その石は心を穏やかに清め至上のしあわせをもたらすと言われています。
わたしのがん
2011年5月に初期の子宮体がんと診断されて四か所目の病院で11月に手術を受けました。しかしリンパへの転移がみつかり1ヶ月後に再手術。更に約半年間の抗がん剤治療を経験しました。
その間には想像していた副作用と、それ以上に私を取り巻く今までの環境との大きなギャップに直面しました。
「がん患者」のわたし
手術の影響からの様々な体調の変化は数えきれません。
リンパ浮腫や長期間の嘔吐、排尿障害での自己導尿なども経験しました。
そして抗がん剤の副作用では全身の脱毛から始まり、爪の異変や味覚臭覚の異常、ムーンフェイス状態の後には肌がボロボロになってしまいました。
病院ではシミになりやすくなるので気をつけるように指導されましたが、なぜシミになりやすくなるかは不明でした。抗がん剤の影響で握力が無くなり化粧品のキャップを開け閉めすることも一苦労です。でも何もしないと言うわけにはいきませんので時間をかけケアーします。
また、私は真冬から真夏の間にウイッグを余儀なくされる生活でした。
台風の季節には傘を差しながらも絶対にウイッグが飛ばされないように懸命に抑えましたし夏は一人の毛髪の3倍ほどの毛量があると言われるウイッグを被ってのとても暑く厳しいシーズンでした。
朝、時間をかけてウイッグを被り仕事に向かいます。
髪の毛がある上にウイッグをつけるのはピンで抑えられるので簡単に装着できますが、何もない頭にアンダーキャップ被りその上にかつらを載せて一緒にピンで留めるのですぐにずれてしまいます。何度も何度もやり直しをする毎日でした。夏の暑さでかつらの中は汗ですぐに濡れ、蒸れて汗が顔に流れ落ちてきます。会社の着くと一旦かつらを取り、頭皮を拭いてまた被りなおすのです。 中に入れてあるアンダーキャップも絞れば汗が出るくらいになるので替えを数枚持ち歩きました。数日使うとウイッグがべったりとしてくるのでシャンプーをします。自分の髪の毛なら入浴時に簡単にできますが、ウイッグは丁寧に洗面台で洗い、ウイックスタンドに立ててドライヤーを当てます。スタンドではブラッシングするだけでウイッグが動くのでとてもやりづらく時間も相当かかってしまいます。しかし洗わないと臭いも気になりますので手の抜けない作業でした。
化粧品会社に在籍し、長年美容トレーナーとして活動してきた私でも、抗がん剤治療中の自分自身のスキンケアーやメイク、ウイッグメンテナンスは今までで一番悩み苦しみました。そんな時、同じ治療仲間からの依頼もあり、がん患者でも行きやすいところを探すために代表でエステを受けることにしました。 しかし予約の時点でがん患者は断られ、予約ができたとしても苦い思いをするサロンが多いのが現状でした。
カウンセリングの時点で抗がん剤治療中と伝えたにもかかわらず、ケアーは別の担当者になるため「どうしてかつらなんですか?」「叔母もがんで亡くなったんですよ」「傷、すごいですね」など、何気にかけられる言葉に大きなショックを受けます。悪気はないのでしょうが当事者の私は厳しい現実を改めて思い知らされました。
また、水でも吐き気がすると話しているのに大量のスチーマーを顔のすぐそばで焚かれ、敏感になっている肌に強めのマッサージはひどく痛く、リラックスどころではありませんでした。
そのようなことを治療仲間に報告すると、同じような思いをしたがん患者は少なくないようで、結論は「がん患者がキレイを求めることは難しい」と言う大きな諦めでした。キレイと言うのは今までと変わりない自分なのですが、それさえ叶えてくれるような、私たちの求めるサロンはどこにもなかったのです。
電車やレストランでも「かつら」とばれないように下を向き、「付けまつげ」とわからないように話すときには相手の目を見ることができず、「爪の黒さ」を隠すために常にこぶしを握って生活する私たちは「がん患者」なのです。
しかしそんな思いを抱えながらも、自分たちが安心して使えるかつらを探し、サロンを探し、化粧品を探しました。そして出た結論は、「私と同じ様なダメージを受けて悩んでいる方を、私がキレイにしたい!」。肌へのダメージを回復する良い手段は何がある?何もない顔を今までと同じように見せるメイクは?と考え続け、自分の今までの美容の知識と経験を活かせる場所を提供することではと強く思うようになりました。
プライベートサロン
その結果がサロンという「かたち」となり、2013年6月にセレナイトをオープンさせる事となりました。セレナイトは一人一人に合わせたオーダーメイドプランでオールハンドトリートメントです。「手当」と言われるように、手を使い触れられることで疲れた気持ちをほぐし、心とからだのバランスを取り戻します。誰にも会わず丁寧なカウンセリングのもとにゆっくりとトリートメントを行います。途中、疲れたり気分が悪くなったら休憩出来るように大きめのソファを置いています。
メイクレッスンもご自身で出来るようにアドバイスしていきます。ファンデーションの塗り方から付けまつげの付け方や眉の描き方、更にはインナーの選び方などの相談にも応じます。
弱くなった肌にも使える化粧品やヘアケア、メイク用品も実際に私たちが使いセレクトしたものだけを置きました。
付き添いの方やお友達と一緒にいられるように広めのスペースでトリートメントします。季節に合わせ、天気に合わせお出しする飲み物も変えていきます。
今はがん患者さんだけではなくご家族やご友人もいらっしゃいます。患者と日々向き合いどのように接していいかわからなくなったからとケアーを受けながら質問されることもあります。自分自身のケアーでいらっしゃるのですが心の中はいつも家族、友人の事を思っている方がとても多いです。
わたしは医療従事者ではありません。美容とがん治療の経験者としてのアドバイスをさせて頂きます。私自身が2度の手術と抗がん剤治療を経験し、悩み苦しんだことをこれから治療される方にアドバイスし、少しでもその悩みを解消し治療に専念して頂きたいと思います。女性は見た目が変わると心も変わります。サロンにいらっしゃる方も初めは緊張のせいか治療のせいか、やはり元気無くお越しになる方も多いです。
しかし、お帰りになる時は皆さん明るく元気になって帰られます。「美しく輝くがん患者でいよう」と言う思いのもとに、病気になっても女性であることを 諦めないで今までと変わらない自分でいられるように精一杯お手伝いをしたいと思っています。
さとう桜子(さとう さくらこ)
美容ライフアドバイザー・エステティシャン
美容専門学校を卒業後、ヘアーメイクアップアーチストとして活動。
その後化粧品業界で美容の基礎やエステを学び国内外の大手ブランドで経験を重ね2013年5月まで美容知識・エステ・カウンセリング・セールスなどのスタッフトレーニングに携わる。
美容ライフアドバイザー・エステティシャン
美容専門学校を卒業後、ヘアーメイクアップアーチストとして活動。
その後化粧品業界で美容の基礎やエステを学び国内外の大手ブランドで経験を重ね2013年5月まで美容知識・エステ・カウンセリング・セールスなどのスタッフトレーニングに携わる。